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要配慮者とサポーターの心のバリアを取り除くスマートフォンアプリ「袖縁」が創る共生社会

3 要配慮者から困りごとを発信しやすくすることが大切

やはり要配慮者が、自分から手助けの要望を発信することが大事なのでしょうか。

友枝:はい、そのように考えています。というのも、障害者にグループインタビューを実施したときに、少なくない方が口を揃えて言っていたのが、「声かけ・サポート運動」に困る、ということでした。「声かけ・サポート運動」とは、“お困りの方に積極的に声掛けしましょう”という駅などで行われている取り組みです。これ自体はとても大切な活動ではありますが、障害者は常に困っているわけではありません。声がけが増えて安心という方もいる一方、困っていない時の声がけや不慣れな人の突然の介入に逆に困った、という方もいることが分かりました。困ったら袖縁で依頼するので、ヘルプマークと逆の、声かけや手助けは不要を表す「ヘルプ不要マーク」がほしい、という話で盛り上がっていました。

また、袖縁があれば、安心してチャレンジできるという意見もありました。つまり「障害者だから」とか「困っていそうだから」という、他人目線の理由で手助けされるのではなく、自分の意思で簡単に手助けを求められる仕組みが求められているということなのです。そのため、手助けを依頼し易く、手助けし易い環境をアプリで実現することが大事だと考えています。

手助けする事業者側の留意点などあれば教えてください。

友枝:合理的配慮の一環として袖縁を活用していただくので、「サポーターとして登録するスタッフの教育はしてください」とお伝えしています。袖縁では、サービス介助やLGBTQの教育を受けているかどうかなど、サポーターの属性を指定または優先できるようにもしています。

また、同じ障害であっても、人によって具体的状況や性格は異なります。サポートの依頼が来たからと飛んでいくのではなく、一呼吸置いて“あんちょこ”を一読した上で、依頼者の希望に沿った対応をしていただきたいと思います。withコロナの時代にあっては、感染リスクの低減も念頭に置き、先ずTV電話で用件をお聞きし、対面の時間を短くすることも必要だと思います。

TV電話の他にも手助けする事業者側にとって嬉しい機能はありますか。

友枝:袖縁の事業者側機能に「引継ぎ」があります。例えば、依頼者近くのスタッフが対応したものの、高い介助スキルが必要だと分かった場合に、介助資格を持つスタッフを指定して引き継ぐ、といったように活用できます。

事業者側の合理的配慮の質やコストも改善されますし、その都度依頼したり、障害の説明をしたりするのが辛い、というお客様にも喜んでいただけるはずです。ちなみに、東京都の「ソフトバリアフリー実証実験」では、「夢のようなアプリです。これでまた出かけられます」とおっしゃる方もいたくらいです。

日本で初めて観光バリアフリー宣言した沖縄の調査によると、障害者や高齢者の観光消費額は平均よりはるかに多いという結果がでています。要配慮者の皆さまに来ていただく、ファンになっていただくということは、共生社会の実現という倫理的な側面だけでなく、経営的にも意味があると考えています。

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