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ICTを活用して障害児教育の変革に努める特別支援学校教諭の取り組み

1 iPadのアプリを活用して本質的な学びを得られるように

熊谷特別支援学校では、早くからiPadを導入した授業を展開されています。先生は、校内の情報推進委員として、導入に携わっていたそうですね。

内田考洋(以下、内田):はい。私は美術を教えていますが、学生の頃は情報デザインを学んでいたので、手探りではありますが、ICTを活用した授業を考案するようになりました。

具体的に、どのような授業を実践されているのでしょうか?

内田:iPadのアプリを活用した授業が多いですね。たとえば、Keynoteというプレゼンテーション用アプリですが、描画機能が非常に優れています。ペンやパレットを使うと、手を汚さずに絵を描くことができるんです。失敗してもその都度、前の画面に戻って描きなおすことができるんですね。肢体不自由の子どもたちの中には、絵具をうまく使うことができなくて、絵を描くことに苦手意識を持つケースも少なくありません。その点、Keynoteは使い勝手がたいへんいいので、描写する楽しさや自己表現といった本質的な学びを得ることができると思っています。

描画できるアプリは手が不自由な子どもでも扱いやすい
描画できるアプリは手が不自由な子どもでも扱いやすい

また、手が震えてしまうため、鉛筆で描くと文字がとても大きくなってしまう子がいました。漢字に興味があり、字を書きたいという気持ちはあるのですが、文章作成に時間が掛かることが課題でした。そこで、スムーズにひらがな入力ができるアプリを国語の授業に組み込みました。これにより、自分が経験したことを文章に落とし込めるまでになりました。

さまざまなアプリを教育ツールに応用されているんですね。

内田:そうですね。ちなみに、その文章作成能力が伸びた子は、以前は話すことについても課題がありました。人前で発表する際などにも、主語を飛ばしてしまったり、単語だけで話そうとしたりしてしまうため、伝わりにくさがありました。また一部の言葉の発音が不明瞭でした。そこで、ゲーム感覚で音声認識ができるアプリを活用して発音を練習。すると発声する前に息を吸うとか、一文字一文字はっきり言うとかいったことを自分から進んで行うようになりました。彼は校内の選挙管理委員長に立候補したのですが、集会のあいさつ時、しゃべるだけでは伝わりにくいかもしれないからスライドで原稿を表示しようと自ら考えました。するとそれが他の生徒からも大変好評で皆からほめられました。それが嬉しかったのか、翌年も委員長をやりたいと積極的な姿勢が出てきて、ずいぶん変わりました。

描画できるアプリは手が不自由な子どもでも扱いやすい
描画できるアプリは手が不自由な子どもでも扱いやすい

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