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高専生が開発した点字翻訳システムで視覚障害者の”読む”にまつわる課題を解決

4 技術者の手によって障害者が暮らしやすい世界を実現

では、これから「:::doc」の機能をどのように充実していきたいですか?

板橋:ひとつは点字の認識をもっと正確なものにしたいです。これは、ディープラーニングや画像認識技術を機能に追加していくことで実現できたらと思います。もうひとつは、レイアウトや色といった墨字のプリントならではの情報が、点字に翻訳したときに抜け落ちてしまわないように、どうやったら忠実に表現できるかを考えていきたいです。現状、どうしても点字に変換すると崩れてしまいますが、その課題を解決する方法を見つけたいと思っています。

鈴木:視覚障害者の皆さんにとって、文字情報が多すぎると読みにくさにつながってしまいます。そうした課題を解決するため、自動で文書を要約して点字に反映する機能を開発してみたいです。要約することによって短時間で内容を把握できる、そんな技術を作っていきたいと思います。

最後、山下先生に「:::doc」の今後と、開発に携わる学生に期待することを伺いたいと思います。

山下:視覚障害者の方と6年ほど交流を重ねてきて、彼らがいかにIT技術の恩恵を受けられていないかを実感することが多いです。私たちが当たり前に使っている翻訳技術やメール、インターネットなど、まだ生活に取り入れられていない方がたくさんいらっしゃいます。今回、「:::doc」は学生が3カ月くらいで作ったものですが、視覚障害者の方にとても喜んでいただけました。学生たちも技術者の手によって障害者が暮らしやすい世界を実現させることができると実感できたのではないかと思います。

また、学生たちにはICT機器の活用を念頭に置いた開発にも関心を持ってもらいたいです。最近はスマートフォンを使う視覚障害者の方も増えています。全盲の方も保護シートのようなものに突起やくりぬきを作り、タップする位置が分かるように独自で工夫されています。スマートフォンによって、これまでは健常者が横について道案内しなければ外に出られなかった方でも、一人で行動できるようになるはずです。日常生活のサポートをスマートフォンが担う時代が来るのではないかと思います。これからの時代の技術者、開発者はスマートフォンをはじめとするICT機器を活用して、障害者だけではなくひいては健常者の生活も豊かになるようなアイデアを出すことが一層求められるのではないでしょうか。

学生たちには当事者の声に寄り添い、耳を傾け続ける技術者に成長して欲しいと語る山下先生
学生たちには当事者の声に寄り添い、耳を傾け続ける技術者に成長して欲しいと語る山下先生

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