エイブル・アート・ムーブメントと、このGood Job! センターの関わりについて伺えますか。
森下:エイブルアート・カンパニーでの活動を広げる形で、2012年にアートやビジネスなど福祉の領域を超えて、新たな仕事や仕組みをつくることを目指す「Good Job! プロジェクト」を始めました。大阪で初の展覧会「Good Job!」を開催し、障害のある人の表現を活用した魅力的なプロダクトを紹介しました。
障害のある人との協働による「新たなしごと・はたらき方」を紹介する展示会。
これまでに北海道・宮城・東京・愛知・大阪・兵庫・福岡・大分など全国で開催している
森下:また、2013年からはプロダクトに限らず、活動・仕組み・メディアなど、全国のさまざまな取り組みを発信する「Good Job! Exhibition」を毎年開催してきました。
このような活動を続ける中で、アートの制作から流通までを一貫して提供できる場が欲しいという思いから、Good Job! センターの計画が動き出しました。センターが立地する奈良県香芝市のこの場所は、長年にわたってたんぽぽの支援者であった吉本さまというご夫妻から寄付していただいた土地です。さらに日本財団や香芝市のご支援、そして支援者の皆さんからの寄付もあり、2016年にオープンすることができました。
建物入り口には、誰でも利用できるカフェスペースがある
仕切りがなく、すべての空間がつながっているGood Job! センター館内。
この日は数日後に控えたイベントの準備が、楽しく賑やかな雰囲気で行われていた
自然光がやさしく差し込む、開放的な空間ですね!
森下:ここ南館は、入るとすぐに一般の方も利用できるカフェスペースがあります。イベントなどでも使われる左手の大きな吹き抜けスペースを抜けると、アート発信の場となる「工房」です。3Dプリンターやレーザーカッターなどの機材が揃い、日々さまざまな製品が生まれています。
オンラインストア「GOOD JOB STORE」で扱っている作品の一部も、
Good Job! センターで作られている
工房にも仕切りはなく、館内全体の和気あいあいとした優しい雰囲気が館内を包んでいる
森下:2階は「ショップ」と「ストックルーム」です。
障害のある人が関わって作られた、魅力的な製品や作品を届ける流通拠点にもなっており、全国130ほどの取引先と、3,000種を超える商品の流通を行っています。
発送業務だけでなく、ウェブサイトに掲載する写真を撮ったり、商品をデータベースに登録するなど、作業は多岐にわたります。それら一つひとつが、就労訓練につながる大切な「仕事」なんです。
2階にあるストックルーム。オンラインストアでの注文に応じて、
Good Job! センターから発送を行うこともある
ストックルームの脇にはショップスペースも。
魅力的な商品に触れることができる
続いて、100メートルほど離れた「北館」にやってきました。
南館からすぐの場所に立つ北館も、美しい外観で町に溶け込んでいる
森下:「ホール」は、ダンスや音楽といったパフォーマンス、創作ワークショップやセミナーなども行えるコミュニケーションスペースです。奥にある「アトリエ」は、新しい表現が生まれる創作スペースです。
北館のホール、アトリエなども仕切りのない開放的な空間だ
Good Job! センターの建築テーマは「町並みを作るアートの森」だそうですが、「つくる」「はたらく」「発信する」が仕切りなく一体となり、非常にエネルギーあふれる施設になっているのが印象的です。