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重度障害の生徒にICTで知る楽しさを伝えたい〜小松瀬領特別支援学校〜

1 肢体不自由障害の生徒にICTをどう役立てればいいのか模索を続ける

当校以外にも、ICTを活用している特別支援学校はありますが、その活用方法には主に3つのパターンがあることに気が付きました。1つ目は先生が言いたいことを授業で分かりやすく伝える「提示型・プレゼン型」、2つ目はデバイスに搭載するソフトウェアを使う「アプリ活用型」、3つ目は、言葉を使えない子供が伝えたいことを伝えられるようになる「福祉機器代用型」です。簡単にまとめると次のようになります。

〈特別支援教育でのICT活用のパターン〉

(1)提示型・プレゼン型
教師が効果的に伝えるためにICTを活用。写真、動画、音楽、文字、スライドショーなどを使う。教師と児童生徒の関係は「一対多」、「一方的」であることが多い。

(2)アプリ活用型
ワープロや表計算、ゲーム、カメラなど、特定のアプリを利用して生徒の学習活動を後押しする。アプリ活用のスキル習得が重視される。教える側と教えられる側の関係になりやすく、個別の学習課題では、教師とのやり取りが少なくなる。

(3)福祉機器代用型 障害による困難を解消、軽減するための機器。ただし、重度の児童生徒にとっては利用のハードルが高いものが多く、利用場面は限定される。

・AT(Assistive Technology):音声言語による会話が困難な人のためのコミュニケーションアプリ「トーキングエイド」に代表されるような、困難を軽減し代替するもの

・AAC(Augmentative and Alternative Communication):意思伝達機器として開発された「レッツ・チャット」やパソコンに意思伝達ソフトをインストールしてワンスイッチでパソコンを操作する「伝の心」といった拡大代替コミュニケーションツール

・VOCA(Voice Output Communication Aids):フリック入力により文字入力し,1文字ごとに登録した文章から予測して会話する「クイックトーク」などの音声出力会話補助装置

いずれも活用できる児童にとっては有効なツールですが、当校には手が変形して曲がっていたり、そもそも動かない肢体不自由障害の生徒もいたりします。そのため、タッチパネルが上手く使えなかったり、視覚聴覚両方に困難があったりと、ICT機器の使用が難しいケースがほとんどです。これまでよく見られたパターンとしては、先生が生徒に手を添えて動かしてパットの操作をしてしまうこと。これはやらされている感覚になってしまいます。そのため、どのように活用したらいいのかについては、工夫を続けてきました。

試行錯誤を経て辿りついたのは、ICTはパーソナルな支援に適しているものであって、カスタマイズできるところに他のツールにはない優位性があるという結論です。 まずは、生徒自身がわくわくドキドキして楽しむことが大事。その点を踏まえると、障害の程度や支援ニーズを明確にして、個々の能力・特性に合った支援を行うことが大切だと考えました。

高等部の授業中の様子。小松瀬領特別支援学校の教育課程はA〜D類型があり、児童生徒は全員D類型(自立活動の指導を主として組織した教育課程)で教育を行っている
  高等部の授業中の様子。
小松瀬領特別支援学校の教育課程はA〜D類型があり、
児童生徒は全員D類型(自立活動の指導を主として組織した教育課程)で
教育を行っている

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