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電話リレーサービス・モデルプロジェクト 日本財団の取り組み(4/4)

4 目指すべき方向

  先進国を中心に世界中の20か国以上で、電話リレーサービスは公共サービスとして行われおり、スウェーデンやオーストラリアのように国が経費を負担しているところもあります。日本財団は、日本でも公共サービスとしておこなわれるべきだと考えています。車いすの利用者などが、電車という社会的インフラを利用するために駅にエレベーターが設置されているのと同じことです。

  これまでも、日本財団として総務省などに「必要なサービスなので、音頭をとって政策として進めてください」とお願いしてきました。しかし、障害者基本計画などにも、電話リレーサービスの実現に関する記述はごくわずかで、今までのところ大きな進展はありません。どのくらい利用されるのか、などの全体像が不明なのも進展しない要因の一つかもしれません。プロジェクトを進める過程で、実態も把握できるようになると思います。

  また、聴覚障害者はこれまで、電話を使って生活してきていないので、何がどう便利なのか分からない面もあります。「電話の世界を知らなかったので、相手とのやり取りが新鮮に感じられた。リアルタイムで通じることの素晴らしさも知った」などという利用者の声も寄せられており、使ってみて便利さを実感するようです。私たちが、電話リレーサービスを使える機会を広く提供していけば、聴覚障害の利用者から公共サービスとしての実施を求める強い声が出てくるのではないかと、考えています。そうすれば、社会全体や政策担当者の意識も変わっていくのではないかと思います。

  問題は社会インフラとして運営していくための費用です。私たちがこれまで、様々な研究や実践の中で得たのは、本来的には公共性の高いサービスを提供している電話・通信事業会社にはすべての人がきちんとサービスにアクセスできるようにする義務があり、その費用も負担すべきだという考え方です。電話・通信会社は民間会社ですから、利益が出ないときもあり、そういう時の負担は大変でしょう。それで、日本財団の会長を含め、私たちが提案していこうと思っているのは、電話・通信事業会社がすべての契約者に、あらかじめ1番号あたり1か月、1円とか2円とかの料金を、バリアフリーとしての電話リレーサービスのため負担してくださいとお願いして、広く浅く集めるという方法です。日本国内には大雑把にいって2億ぐらいの電話番号があると言いますから、1か月1円でも、2億円集まる計算になります。年間24億円ですから、十分な額ではないかと思います。

  いずれにしても、何らかの方法で公的な制度としてやっていける仕組みを作っていければいいなと思っています。私たちはそれなりに大きな規模で、「これが完璧な仕組みですよ」というところまでシステムを完成させて、通信事業者、議員、行政の皆様に知ってもらい、「こういうやり方でやればできるんだな」と理解してもらって、さらに必要な経費などの見込みも示したいと考えています。

取材日:
2015年1月
取材協力:
日本財団

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