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ICT時代だからこその「ヘレンケラースマホ」
-可能性への挑戦! 人間の新しい情報チャネルは、盲ろう者用電話の体表点字から- (4/4)

4 おわりに

  私は、パソコンが販売されるずっと以前の1974年(昭和49年)に、国立国会図書館5階の電子計算機室で、当時の日立の大型コンピュータHITAC8400を用いて、点字で初めての日本語入力を行ないました。それは、次の1行と数文字でした。
『この文章は電子計算機を用い点字から直接書いた最初のものです。』*7

  私は、この時、紙テープのパンチに自宅にある紙テープパンチャーを用いました。プログラマーは、辻畑好秀氏でした。私は、情報処理の専門のことは分からないのですが、ムーアの法則によると、コンピュータ関係の技術は、1年半の18カ月ごとに2倍に進歩するというのであったと思います。そうだとすると、1974年から40年で、約2の26乗ぐらいの倍率になります。その時に用いた紙テープは、幅24ミリで、長さ1.5メートル。このテープの直角方向に、点字の点数だけ直径1.2ミリの孔をあけ、私は工夫して、この100bitぐらいの孔を直接に確認できました。つまり、当時は、1bitの信号を指で確認できたのです。ところが、今は、テラ(tera 一兆倍)の単位で情報が示されています。それほどICTが発達したのです。だから、「2.盲ろう者のコミュニケーションの可能性 ヘレンケラースマホの活用方法【体表点字の可能性】」や、「3.課題と今後の展開」において述べてきた可能性や夢は現実のものになると考えています。体表点字の情報チャネルとしての可能性については、今後のビッグデータ時代に健常者も体表点字を読めるようにする必要性を社会が認めるなら検討していただきたいと思っています。

  また、「1.ヘレンケラースマホとは」で示した盲ろう者の人々が置かれている情報の真空スポットは、社会的に何とかして差し上げなければならないと考えています。私にできることは、開発したヘレンケラースマホのソフトを世界で使えるように全国盲ろう者協会に寄贈することです。そして、今話している、このインタビュー記事も届かない、全国の1人1人の盲ろう者を訪ねてヘレンケラースマホの使い方を伝えることです。

[参考]
*1 ヘレンケラーシステム開発プロジェクト:長谷川貞夫(社会福祉法人 桜雲会理事)、成松一郎(読書工房)、武藤繁夫(TM研究所)、新井隆志(日本福祉放送)、甲賀金夫(社会福祉法人 桜雲会事務局)
*2 体表点字:佐々木信之(筑波技術大学)、大墳聡(群馬工専)、長谷川貞夫
*3 スマート点字:武藤繁夫、長谷川貞夫
*4 六点漢字体系:長谷川貞夫
*5 IPPITSU(一筆) 牛田啓太(群馬工専)、長谷川貞夫
*6 テレサポート:古川愛子、長谷川貞夫
*7 :日本特殊教育学会論文集 1950年

取材日:
2014年11月
取材協力:
社会福祉法人桜雲会

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