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現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者支援サービス・取組 > 難病者や重度障害者のコミュニケーションを支援するICT救助隊(3/5)

人工聴覚医療情報の発信と磁気ループ補聴システムの導入(3/5)

3 聴こえを支援する磁気ループ補聴システム

 人工聴覚情報学会の活動を始めて、大学の研究者や人工内耳のメーカーの方などと知り合うことができました。その中のひとつ、東京工業大学精密工学研究所中村研究室では、中村健太郎教授が中心となり東工大ソリューション研究機構プロジェクト「聴こえ支援」をしています。

 補聴器や人工内耳を付けた人が、よりクリアに必要な音を聴くためには、話者の音を電気信号で直接届ける方法がよいと、中村教授は磁気ループ(ヒアリング・ループ)補聴システムの提案をしています。磁気ループ補聴システムとは、音声を電気信号に置き換え、磁気ループの中でその電気信号を補聴器、人工内耳に直接伝えるシステムです。主に講演会などで使われています。ホール等あらかじめ設置されているところもあります。

 音を直接届けて聴こえを支援する方式には、音声をFM電波で飛ばし、受信機で受け取って聞く方法や、音声を赤外線に変換して受信機で受け取って聞く方法などがありますが、磁気ループは最も古くてシンプルな方式ということです。

 磁気ループの仕組みは、話者の声(音源)をマイクから取り、その音をアンプで大きくして電気信号として増幅し、スピーカーではなく、ループ状の電線に音の電流を流し、音声信号を流します。電流を流すと電流に比例した磁界が発生するように、ループ状の電線で囲んだ中に音声信号による磁界が発生します。磁気ループ内では、音が直接補聴器や人工内耳に届くので、周囲の雑音が聞こえず、マイクを通して届く音声がクリアに聴こえるようになります。

※ 磁気ループ補聴システムについては、下記、東京工業大学中村研究室のホームページおよび機器メーカーのホームページをご覧ください。
東京工業大学中村研究室 http://www.nakamura.pi.titech.ac.jp/HL-hp/index.html
株式会社ソナール http://www.sonar-loop.jp/

 私はもともと映画が好きだったので、映画館に磁気ループを設置してはどうかと考えました。聴こえに障害がある人たちが映画の音声をより聴きやすくなり、楽しめるはずだと、まず埼玉県深谷市の深谷シネマに交渉しました。趣旨に賛同していただき、中村先生のご尽力もあり、磁気ループ補聴システムの試験的な設置が実現しました。2012年11月には、深谷シネマの紹介で、群馬県高崎市のシネマテークたかさきにも設置することができました。

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