視覚障害者は情報障害者といわれます。目から読み取る情報が入ってこないあるいは入りにくくなっているために、普通の文字を読んだり書いたりできないあるいはできにくくなっていますし、歩行などの移動面での困難を生じます。
現在は情報化社会となり、ICT(情報通信技術)が日常生活に浸透していますが、視覚障害をもつ者にとっては、ICTが使えなかったり、使いにくいために大きな不利益を蒙っていることがあります。
私は15歳のときに失明したため盲学校に進学し、1983年に母校の横浜市立盲学校の教員となって生徒の職業教育などにかかわってきました。当時は、NECの8801や8001という機種が個人でも使えるようになったころで、日本で初めて音声で使えるパソコンの試作機を盲学校で使ってみました。パソコンを使って漢字やかな混じりの文章が書け、教材や試験問題を自分で作れるようになったことは、普通の字の読み書きをあきらめていた自分にとって画期的なことでした。
パソコンを使えるようになれば視覚障害をかなり補えることができ、社会参加ができると自ら実感し、日本でも先駆的にパソコンを教育に取り入れ、情報処理の授業も設けました。ところが一生懸命教育を受けた子どもたちを社会が受け入れてくれるしくみがないと、社会で能力を活かすことができません。なんとか社会を動かしたいという気持ちが強くなりました。
「視覚障害者は情報障害者のままであってはいけない」という強い思いから、視覚障害に役に立つ機械や機能を考え、メーカーに提案するようになりました。OCRで読み取ったデータを読み上げることができれば、視覚障害者のための読書機になるとあるメーカーに提案したところ、製品化が実現しました。
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原本作成日: 2008年12月8日; 更新日: 2019年8月20日;