フロッグワークスの事業について教えてください。
一つ目の機器販売業は、視覚障害者が使いやすい最適な設定にしたパソコンを販売しています。例えば、電源を入れたらすぐに音声を読み上げる設定、画面の文字や配色を見やすいようにする設定、余計な通知や不要なアプリを消して快適に使えるような設定など、目の状態や見え方に合わせてオーダーメイドでパソコンを設定します。すでに利用中のパソコンの設定を変更することも可能です。
二つ目のICT講師業は、主にパソコンやスマートフォンの使い方をレクチャーするという仕事です。地域の福祉団体や視覚障害者団体、福祉施設の利用者に対してICT機器の講習を請け負っています。最近は、視覚障害者だけではなく、文字の読み書きに困難を感じる学習障害の一つのタイプであるディクレシアの方向けの講習も実施しています。
三つ目のウェブサイトやアプリケーションの開発は、音声読み上げソフトを利用者している視覚障害者にとって分かりやすいウェブサイトやスマートフォンアプリの開発を受託する仕事です。私は視覚障害のある当事者であり、プログラマーでもあるので、情報アクセシビリティに配慮したホームページの作成が可能です。この事業から派生した新たな取組として、デザイナーと提携し、福祉施股や団体向けの印刷物をアクセシブルなものにする「見やすい福祉デザイン」事業も始めました。
四つ目の障害理解研修は、官公庁や社会福祉法人の職員向けの講師、社会福祉協議会などが主催する市民講座の講師の仕事です。2024年4月1日施行の改正障害者差別解消法では、民間事業者は障害者への合理的配慮の提供を義務付けられることになります。 しかし、視覚障害者にとってどのような合理的配慮が望ましいのか、よく分からないという民間事業者の方が多いようです。特に多くの方が、視覚障害者はパソコンを使えないと誤解しているので、そのような誤解をなくすための研修を実施しています。
ICTの知識と視覚障害当事者の経験に基づき、ICT活用をサポートしている岸本将志さん