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ろう者が安心して生活できる社会を目指して 〜映画『ゆずり葉』の製作〜(3/4)

3.聴覚障害者の情報アクセスについて

『ゆずり葉』が映画としてユニークなのは、手話が言語として使われているという点、そして「字幕」という情報保障が全編を通してなされているという点です。字幕は、洋画ではおなじみのものですが、邦画に関してはほとんどつけられていません。故に聴覚障害者は邦画を楽しむことができず、洋画ばかりを見ているというのが、未だ現実なのです。

「ユニバーサル映画」と銘打った日本映画に字幕がついているものもありますが、それはあくまで稀なケースです。今回の私たちの製作意図の中に、「字幕をつけてもらえないなら、自分で映画を作って、それに字幕をつけて観てもらおう」というチャレンジ精神があったことは確かですし、その効果は多少はあったのではないかなと思っています。

耳が聞こえない人に対する情報バリアが依然存在しているというのは、このように、映画を例にとってもわかると思います。ただし、これは日本国内のことであって、アメリカでは「21世紀における通信および映像アクセシビリティ法」においてDVDに字幕をつけることが法律で義務化されていますし、同じアジア圏の韓国では、聴覚障害者が音声通話を前提とする相手に連絡をとるための「電話リレーサービス」が行政の手によって実施されるなど、世界では情報バリアフリー化に向けて、徐々に環境が整備されようとしています。

日本においての動きは、まだまだこれからになってくると思いますが、私たちも先輩たちを見習い、ひとつひとつ取り組んでいければと思っています。まずは、日本映画に字幕を。そして電話リレーサービスなど、生活に密着した情報保障を継続的なサービスとして聴覚障害者が受けられるようになること。ゆくゆくは「情報・コミュニケーション法(仮称)」を実現し、全ての人が無理なく情報アクセスとコミュニケーションができるような環境を作っていくこと……『ゆずり葉』には、未来へつなぐ、このようなメッセージもこめられているのです。

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