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ウェブ・アクセシビリティの国際標準化を考える(1/5)

〜アクセシビリティコンサルタントが見る日本と海外の状況〜

1. アクセシビリティコンサルタントとしての活動について

私はウェブサイトが新しい情報媒体になると確信して、この業界に飛び込みもうすぐ10年になります。まず制作会社で大手企業のウェブサイトを作る仕事をしてから、企業でウェブサイトをゼロから立ち上げるプロジェクトに関わり、ウェブマスターの仕事を経験しました。その後ユーザビリティのコンサルティング会社に転職して、ウェブ・アクセシビリティに出会いました。アクセシビリティの専門家というと、研究者の方や身近に障害のある方がいらっしゃるなどのバックボーンのある方が多いなかで、私は少し違う経歴をたどっています。コンテンツ制作とサイト運営の両方の現場、そして第三者的なコンサルタントとしての立場を経験してきたので、そういった経験を生かしてアクセシビリティに取り組んでいます。

2004年6月に策定されたJIS X 8341-3(高齢者・障害者等配慮設計指針−情報機器における機器,ソフトウェア及びサービス−第三部:ウェブコンテンツ)にもかかわりました。JISを策定した当初は、官公庁や自治体は別として、民間企業がどこまでアクセシビリティに取り組むのだろうかと考えていたのですが、業種や企業の規模に関係なく、ウェブ・アクセシビリティに積極的に取り組む企業が増えています。

現在は、企業のサイト診断、ユーザーテスト、ガイドライン作成、教育・研修などを行っています。企業のウェブサイトがJISの基準をどの程度満たしているのかを第三者の目から客観的に診断し、現状把握をします。健康診断のようなものです。障害のある方とシニアユーザーに協力してもらい、サイトの使い勝手をユーザーの目から評価してもらうユーザーテストも行っています。

一般企業の場合はJISの指針に準拠することも大切ですが、ビジネス的な目標がありますから、内容やターゲットによって重要度や優先順位が違ってきます。そのため企業のサイトに合わせたアクセシビリティのガイドラインをつくるサポートをしています。企業ではウェブサイト運営の多くの部分を制作会社に任せていることが多いのですが、サイトを運営する側として最低限知っておくべき知識などについて、社内研修をさせていただくこともあります。また公開形式のセミナーやワークショップ形式のトレーニングプログラムなどを企画して、アクセシビリティの普及に努めています。

その他アクセシビリティを診断するツールを海外の開発者や専門家と協力してつくっています。WAT-C(Web Accessibility Tools Consortium)を設立して、彼らとコラボレーションして作ったツールをそれぞれの国の言語で提供しています。

※植木さんがウェブ・アクセシビリティ普及のために開設しているポータルサイト
https://weba11y.jp/

※ツール&ダウンロードのページ
アクセシビリティ診断のツールをダウンロードできる。
https://weba11y.jp/tools/testing_index/

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