このように、色覚のタイプの違いによって様々な見え方があるわけですが、これをグラフィックデザイン分野でどのように対応していったらいいのか、ということが、私たちの「カラーUD」に関する取り組みの原点にあります。そこで、色の変換技術を長年一緒に開発している、豊橋技術科学大学と共同で研究を行い、2004年に発表しました。
この技術をベースとして開発したのが、「UDing CFUD」と「UDingシミュレーター」という2つのツールです。
「UDing CFUD」は、色の指定をする作業と同時に、カラーUD配慮を行うことができる、カラーUDパレット作成ツールです。「UDingシミュレーター」は、制作したデザインの色彩がどのように見えているかをPC画面上で実際の画像にして確認できるとともに、見えづらい色を自動的に色変換してくれるツールです。色覚タイプ別に画像の見え方をチェックでき、その画像の中から色の判別をしづらい部分を自動抽出し、適切な配色に自動変換することができます。作り手の感覚や作業環境に依存することなく、誰にでも簡単にカラーUDに配慮した配色を作り出すことができるので、大変使い勝手がよいと思います。この「UDingシミュレーター」に関しては特許も取得しており、おかげさまで2008年度のグッドデザイン賞も受賞しました。
これらのツールは、どちらも無償で提供しています。この開発のために、かなりの時間とお金を費やしていることは確かなのですが、一番大切なのは、まずはこの「カラーUD」自体を一般に広く知っていただくことであり、それを支援していくのが、私たちの会社の使命であり、色材メーカーとしての役割だと思うのです。実際に、現在までに1万2000本ほどを提供しており、その対象も、行政や企業だけではなく、学校や個人で制作を行っている人など、多岐にわたっています。
「UDing CFUD」(左)と「UDingシミュレーター」(右)の操作画面
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原本作成日: 2011年3月29日; 更新日: 2019年8月16日;