みんなのウェブ 総務省実証実験について ウェブアクセシビリティ・セミナー2003のご報告
2003年2月3日に札幌で開催したウェブアクセシビリティセミナーでの、各講師の講演概要およびパネルディスカッションの概要をまとめました。
講師: 日本電気株式会社北海道支社 湯浅幸洋 氏
湯浅氏には、視覚障害者の立場からウェブアクセスの実状をご説明いただくとともに、ウェブアクセシビリティ確保の重要性についてご講演いただきました。
視覚障害者、特に全盲者の立場から、ウェブは便利だが問題もあるということを、視覚障害者向けの音声ブラウザを実演しながら話したい。
音声ブラウザで、すべてのページに対応できるわけではない。フレームでページを分割しているページは、音声で表現するのは非常に難しい。フレーム表示は、見た目を整えるのに非常によく使われるやり方だが、フレームが多ければ多いほど、視覚障害者の場合は1枚ずつフレームを開かなければならない。
NECのホームページを例にウェブの問題点を見ると、一点目はリンク情報が抜けていること。リンクを張っている画像にALT属性がないので、どこにリンクされているかはわからない。そうすると、ホームページに入ったときに、どこに何があるだろうと不安を感じる。二点目は、やたらとメニューが出てくること。三点目はフレーム。フレーム自体は、使っているからといって視覚障害者はアクセスできないということではなく、1ページずつ表示できる内容になっていれば良い。しかし、複雑なものにすると、フレームを1枚ずつ手探り状態で開くので、非常に面倒くさい。
最後は、PDF。これは、ウェブを作る側から見ると、データを作りやすく非常に効率がいいが、これだけを出されても使える視覚障害者はまだまだいない。弱視者の場合はPDFは拡大、縮小自由自在で、色も変えられるので非常に有効であるが、全盲の場合は全くアクセス不能な状態である。PDFファイルについても、すべてをテキストに直す必要があるかというと、そうではない。基本情報さえ何か別枠で出していれば全く問題はない。それで内容は十分に把握できる。PDFファイルをやめて全部テキスト化ということを考える必要はない。
ウェブのアクセシビリティに配慮することは、障害者に使いやすいという福祉的視点だけではなく、ビジネス的視点からみても市場拡大の可能性につながる。仕事の有無にかかわらず、在宅の障害者、高齢者など、外出困難者にとってみると、テレビショッピング感覚でウェブが利用できれば、これほどありがたいことはない。本当に必要な人間は必要なサービスに対しては十分にお金を払う。今までビジネスの相手にならなかった人間を取り込むことができるメリットがあるということを考えていただければと思う。
講師: 北海道保健福祉部地域福祉課 岡本収司 氏
岡本氏には、今後の取り組みの必要性の事例として、行政サイドから北海道条例における情報のバリアフリーの考え方などについてご紹介いただきました。
「福祉のまちづくり」という言葉は、誰もが住みなれた地域で安全・快適に生活できる地域社会づくりという意味であり、健康な成人男性だけではなく、弱者と言われる方たちの目線で、まちづくりを進めることが重要ということ。
世の中に、心、ハード面、文化・情報、制度の4つのバリアがある。これらの垣根を低くしていくことがバリアフリーだが、ハード面と心のバリアフリーを進めようと、平成10年4月から「福祉のまちづくり条例」を施行し、取り組みを始めた。
さらに近年、ITが急速に社会に浸透し、1年前に道庁でも情報のバリアフリーのことを何か考えなければならないということになり、条例の中にも一定の内容を盛り込むことにした。
その背景として、いわゆるデジタルデバイドといわれる、情報格差あるいは情報を利用する機会の格差が拡大し、これが社会問題化したために情報バリアフリーが必要になった。そして、ウェブアクセシビリティは、広い意味での情報バリアフリーの取り組むべき課題の一つとなった。
2年前にIT基本法ができた。国から自治体への「ホームページのバリアフリー化の確保について」という通知は、都道府県のホームページついて、1.すべてのページにタイトル属性をつける、2.すべての画像リンクに、代替テキスト、alt属性をつける、3.その他、アクセシビリティを確保するために、必要な措置をとる、と書かれていた。これで何をすればいいかわからずに何もできていないのが、多くの自治体のホームページの現状だと思う。
自治体の作るホームページの問題が3つあげられる。まず、自治体の多くがウェブアクセシビリティに無関心である。次に、例えば、Windowsでしか見られないような、特定の環境のみに対応したサイトが存在する。最後に、結果として、情報が伝わる住民が限定されていることである。
課題としては、まずウェブアクセシビリティは何かから始まって、なぜ重要でどこに手をつければいいのかを考えることが大事だ。その上で、デザイン重視の、様々な技術を使った見栄えのするページを作ろうという発想をもう一回考え直すことが必要ではないか。
誰のためのウェブアクセシビリティかを考えていけば、ウェブアクセシビリティが大事であることがわかるのではないか。
情報は、様々な環境の人たちにすべて伝わって当たり前である。すべてのユーザー、住民へ、情報を正しく伝えるために考えていかなければいけないものがウェブアクセシビリティである。そして、伝えるべき情報を伝えるべき相手に的確に伝えるというウェブの本来的機能を回復させるということが、ウェブアクセシビリティという考え方の中にあるのではないか。
ユニバーサルデザインという言葉が、急速に普及するような世の中になった。年齢や障害の有無にかかわらず、そもそもそのようなことを考えずに、皆がどうすれば住みやすい町になるのかを考えていくのが、標準的な考え方といった時代になっているのだと思う。
講師: ZSPC 大藤 幹 氏
大藤氏は札幌在住のクリエーターとして、第一線で活躍中です。W3C技術に精通されており、508条施行後における米国でのウェブ制作手法の変化を概観しながら、ウェブ制作に係る技術面あるいは「標準準拠」をキーワードとしたウェブ制作のあるべき姿などについてご講演いただきました。
主にここ数年、海外で、どのようにホームページの作り方やウェブデザインが変化しているかなどについて概観したい。
最初に、バリアフリー、ユニバーサルデザイン、ユーザビリティ、アクセシビリティなどの言葉を整理する。まず、バリアフリーは、障壁となるものを取り除くという言葉である。ユニバーサルデザインは、より多くの人が使えるように最初からデザインするという考え方である。ウェブに限ると、ユーザビリティは、情報が得られたことを前提に、情報を得た後の使いやすさがどうかということ。アクセシビリティは、何らかの障害があっても情報を得ることができるという意味である。
アクセシビリティについてのW3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)の定義では、何かができない状態、具体的には見えない、聞こえない、手が動かないなどの状態でも伝わるか、使えるか、わかるかということである。
アクセシビリティの基準として最も有名なものは、W3Cが勧告している「ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン(WCAG1.0:Web Content Accessibility Guidelines 1.0)」であり、現在はバージョンは1.0である。障害があるためにウェブから情報を得ることができない、または得ることが非常に困難ということをなくすことを目的としたガイドラインである。
ガイドラインは全体が14に分かれており、65個のチェックポイントのそれぞれに、3段階の優先度がつけられている。これは1999年に勧告されたが、その後、2001年に、アメリカではリハビリテーション法508条が施行された。この内容はWCAG1.0の3段階ある優先度の中の最も重要な、優先度1のチェックポイントとほぼ同様のものである。
リハビリテーション法508条が2001年に施行されて、アメリカがどのように変わったか。まず、ウェブデザイン業界では、法律施行直前、直後から、セミナー、講習会が盛んに行われるようになった。法律によって、ビジネスが生まれた状況があったと思う。
しかし、連邦政府、州のサイトは、508条施行後も、あまりアクセシブルにはなっていない。特に、音声対応で視覚障害者には対応しているが、その他の障害がある場合にはアクセシブルではないサイトのレベルで留まっている。なぜ、このような状況になったのかを次に説明したい。
従来の手法とは、基本的にはテーブルを使ってレイアウトをすることであり、標準的手法とは、W3Cの仕様や考え方に合わせて作ったもので、テーブルを使わずにスタイルシートでレイアウトをすることとする。従来の手法は、意図したとおりに見えることだけを前提として制作している。それをアクセシブルに変更しようとすることは、後から障壁を取り除くことになるので、バリアフリー的なアプローチと言えるだろう。それに対して、標準的な手法で作った場合、最初から表現と構造を分ける。つまりHTMLでは構造的なタグづけをし、スタイルシートでそれとは別に表示を指定するので、初めからアクセシブルになるように設計するという意味で、ユニバーサルデザイン的なアプローチと言える。
508条が施行された後の連邦政府、州のホームページは、従来の手法からのバリアフリー的アプローチだったために、そこそこのアクセシビリティしか確保できていないというのが現状だと思う。
標準的手法をとるメリットは、まず、標準的な手法でHTMLを書くと、シンプルで簡単であるということ。覚えるタグは、よく使うタグ10個、20個もあればほぼ済んでしまう。また、ファイル容量も少なくなる。さらに、初めから構造と表現を分離して標準的な手法で作ると、アクセシビリティガイドラインのチェックポイント65項目のうち、約4分の1は自動的にクリアしてしまう。
ここで、ウェブスタンダードプロジェクト(The Web Standards Project)という、1998年頃に設立された、外国の組織を紹介したい。当時、Internet Explorer(インターネットエクスプローラー)と、Netscape Navigator(ネットスケープナビゲーター)などは、標準的な仕様をほぼ無視するような形で、独自拡張のタグを作っていた。そのため、ホームページを作る人は、両方できちんと表示されるようにしなければならず、手間がかかっていた。標準に従ってブラウザができていれば、そのような苦労はする必要がない。ブラウザメーカーに標準を守るよう、強く意見を表明するために、ウェブスタンダードプロジェクトが作られた。この運動のかいもあり、2000年頃に、ブラウザはほとんど標準的なものが使えるようになってきた。
今、ウェブスタンダードプロジェクトが問題視しているのが、ウェブ制作者、デザイナー自身の意識が変わっていないということである。標準が導入されない最大の問題は、バージョン4ぐらいの世代の古いブラウザがスタイルシートをまともに表示できないことだ。しかもそれらをまだ使っている人が多くいる。しかし、昨年の秋頃、特に海外で新しい動きが出てきた。バージョン4世代以前のブラウザにはスタイルシートを適用しないテクニックを使って、XHTML1.0とCSS2で標準仕様に準拠したホームページを作るということである。米国ワイアード・ニュースなどの大手サイトがそれを実践してみせたことにより、標準準拠のページにリニューアルするサイトが増加の傾向にあるようだ。
標準的な仕様に準拠することで得られるメリットの第一は、アクセシビリティを確保することが簡単になる点である。次に制作メンテナンスが楽になる、デザインの変更が一度に簡単、大量にできる、ファイルの容量が激減する、表示が早くなる。また、標準的な仕様に従って作っていると、将来的にもデータとして利用できる。
最後に、サーチエンジンオプティマイゼーション(SEO:Search Engine Optimization)、検索エンジン最適化と言われているものについて紹介する。検索エンジンで、検索結果のできるだけ上のほうに表示されるようなホームページの作り方がSEOである。アクセシビリティを高く作ると、検索エンジンのロボットに対してもアクセシブルになり、より上位に表示される傾向にある。SEO関連のホームページや雑誌にもアクセシビリティに関連した情報が書かれているので、興味のある方は調べてみるといいと思う。
植木氏には、アクセシビリティ確保に向けて、「では、制作現場ではどのように取り組んでいったらよいか?」をテーマに、ワークフローや各種ツールの活用など実践面を中心にご講演いただきました。
実際にウェブの制作現場やウェブサイトの運営現場でどういった取り組みをしていけば良いかについて説明する。まず、アクセシブルウェブコンテンツ制作の考え方であるが、アクセシビリティに対応するには画像を使ってはいけないという大きな誤解がデザイナーの中にある。そうではなくて、画像を使うときは画像を見ることができない、利用することのできないユーザーのために、代替テキストの情報をつけることが基本である。
また、ウェブを作る立場の方、ウェブを運営されている方は、何のためにウェブを作り、何のために運営しているのかをもう一度考えることだ。年齢層も幅も広がったユーザーに使ってもらうためにウェブを作り、利用してもらうためにサイトを運営しているはずである。
実践する上での基本は3つ。まずはHTMLをW3Cが定めている仕様どおりに作ること。次に、アクセシビリティに関してはガイドラインが出ているので、これに準拠すること。3つ目は、ユーザーテストで検証するということだ。
ガイドラインに準拠するワークフローの考え方は、既存コンテンツのアクセシビリティ向上と、これから新しくコンテンツを作る場合のアクセシビリティ確保の2通りに分けられるが、基本は同じだ。まずガイドライン(ルール)を決め、それを制作にかかわるメンバー全員で共有し、ガイドラインを常に参照しながら作業を進めていく。作業を進める際も、なるべくツールを使い効率的にする。最後に、公開前のチェックをクリアしたものを公開する。
既にW3C、IBM、日立、富士通などがウェブ上でガイドラインを公開している。既存のガイドラインをうまく活用して、ルール作りの作業をする。ルール作りはあくまでもスタート地点であり、ルールをいかに守っていくかが大事なので、数を絞り、できる範囲でベストをつくせばよい。優先すべき項目は、画像のALT属性やテーブルである。文字サイズやわかりやすい言葉についても、高齢化の進む日本では重要な項目だろう。
既存コンテンツの場合、全ページを一気に改善するのは困難なので、ルールを作った後に優先順位をつける。まず改善すべきはホームページ(トップページ)だ。大規模なサイトの場合は、テンプレートのアクセシビリティ改善も早く手をつけた方がよい。新規コンテンツの場合も基本的に同じ流れだが、できるだけ多くの項目をカバーするようにがんばってほしい。
いきなり100点満点ではなく、まず10点とることから始めていただきたい。
発表者: 実証実験事務局
総務省が取り組んでいる「高齢者、障害者等が利用しやすいホームページの普及に向けた支援システムの実証実験」について、ウェブヘルパーの紹介やこれまでの取り組み成果について中間報告しました。
実証実験は平成13年から取り組みを始めたが、総務省は、旧郵政省時代からウェブアクセシビリティに関してさまざまな取り組みを進めてきた。特に平成11年には旧郵政省・厚生省共同研究会で、「アクセシブルなウェブコンテンツの作成方法に関する指針」を発表した。
その後「e-Japan重点計画」を受けて、平成12年度ウェブアクセシビリティ支援システム、ウェブヘルパーの前身のJ-WASを開発した。平成13年度からはJ-WASを使って、実際のウェブアクセシビリティを普及するための実証実験を行なっている。主な取り組みとしては、実証実験の目玉であるJ-WASの使いやすさのテストを行った。特に、岡山県、仙台市、福岡市の3カ所の実証実験地域では、高齢者や障害者、地元の企業、団体の方々に参加していただき、ウェブアクセシビリティの重要性について意見交換会や講習会を行なったり、高齢者、障害者のウェブ利用特性調査を行なった。
平成14年度の実証実験は、主に3つの取り組みを進めたいと考えている。一つは、昨年度まで使っていたウェブヘルパーテスト版をCD-ROM化して配布することを考えている。今回は制作者が、インターネット上のウェブコンテンツだけでなく、手元で作成中のHTMLファイルも点検できるように改善した。
J-WASの実証実験の結果を踏まえ、さまざまなポイントを改善している。レイアウトのためにテーブル使っているのか、それともデータのためにテーブルを使っているか、それらを確認した上で点検することが、より正確にできるようになった。点検結果は、WCAG1.0(ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン1.0)に従った形で、そのチェックポイントに適合しているかどうかを、より把握しやすい形で出せるようになっている。また、それぞれの点検結果については、どのように改善したら良いか、アドバイスを出せるようになっている。さらに、ウェブ制作者にウェブヘルパーを使い、ウェブアクセシビリティを高めていただくために、付加機能として新たにALTテキストエディタ、フォルダ一括簡易点検機能、文書構造チェック機能を用意している。
平成14年度の実証実験の2つ目の取組みとして、本日の札幌会場以外に、大阪、福岡、東京でもウェブアクセシビリティ・セミナーを予定している。また3つめの取組みとして、アクセシビリティに配慮したウェブサイトの見本を作り、制作者の技術をアピールするためのコンテストを実施している。
講師全員にお集まりいただき、セミナーに参加いただいた会場の皆さんと、ウェブアクセシビリティ確保に向けた課題やその解決方策等について、ディスカッションを行いました。
大藤氏: 自治体のウェブアクセシビリティへの取り組みはどの程度進んできているか?
植木氏: 自治体の場合は、部門ごとにページを作成している事が多いので、全体を管理できる部署があるかが重要だと思う。
会場: 日本語特有の漢字の不正確な音声読み上げについて、湯浅さんはどのように感じているか。また、制作側が日本語特有の読み上げの問題を回避する方法はないか。
湯浅氏: ウェブではなくスクリーンリーダー側の問題である。辞書がどれだけ鍛えられているかによる。自分はスクリーンリーダーの読み間違いに任せ、前後の文脈から理解している。視覚障害者といっても漢字の概念がわかる人、わからない人がいる。ウェブで配慮するとすれば、二度読みになるがどうしても正確に読んでもらいたい箇所は漢字で書いた後で括弧書きでふり仮名を入れるか、漢字をひらがなに直すことなど。
大藤氏: XHTMLのルビ要素はまだ対応が難しい。
植木氏: スクリーンリーダー側の問題なので、開発ベンダーに読み上げの精度をあげてもらいたい。ただし、ECサイトにおける日付や金額など重要な情報は、記号でなく漢字表記をすべき。
会場: 各自治体で広報誌を出しているがPDF化されていてスクリーンリーダーで読み上げられない。HTML化するとコストや時間がかかる。テキストか、SPコード(二次元バーコード)を読ませて音声化する装置を給付する話もある。どちらがよいと思うか。
植木氏: 書籍では、視覚障害者向けにレシートと障害者手帳のコピーと引き換えにテキストデータの提供を行なっている例がある。行政でも申し出があればテキストデータ提供する対応をとればよいと思う。
湯浅氏: PDFをプリントアウトし、OCRで読み込んだものをテキスト化する方法もある。
岡本氏: 広報の内容は根本的にはデザイン重視のものではないのでウェブ上に載せる際に、PDFである必要はない。広報担当者がもっとHTMLやアクセシビリティを勉強すれば、HTML化もさほどの手間ではないはず。各自治体には、声を大にして訴えていくべきではないか。
湯浅氏: 全盲者でもPDFが読めるという情報が広まったが、一部のスクリーンリーダーで一部のPDFが読めるようになっただけで、実態はほとんど無理。
会場: 障害者の就業支援をしている。委員会を発足して北大の山本先生を巻き込んでという話があったが、行政を議論に巻き込むためのアドバイスをいただきたい。
岡本氏: 共同研究には道庁からは福祉担当部署、情報施策政策の担当部署の両方が参加している。福祉のまちづくり条例の中に情報バリアフリーを取り入れていこうとした際、様々な障害者、子供、高齢者に配慮しなければならない。自治体に働きかけようと思ったら、いろいろな声をもった人のことを聞いて欲しいと言って、積極的にアプローチしていくとよい。問題提供をできるのは私たちなのだと、とにかく声をあげるのが一番だ。
会場: (事務局へ)資料をいただくことはできるか。
事務局: 講演者の講演を清聴していただきたい、講演内容を生業としている先生もいるので、ドキュメントとして提供することができるのか講師の判断を仰いでから、必要な方に提供していきたいと判断した。点字資料などの準備も整わなかった。「みんなのウェブ」上から資料提供できるのかも、著作権の問題もあり、個別に事務局に問合せいただき、講師と相談のうえで、提供できる場合は提供したい。本日の講演内容は「みんなのウェブ」上で要旨、必要なURL等を報告する予定である。
会場: 講演の中でスライドや発言の早さに配慮している講師がいなかった。
安藤: 今後の参考にさせていただきたい。情報保障としてパソコン要約筆記を用意した。「みんなのウェブ」から必要な情報にアクセスできるようにしたい。
会場: SSI的なものを使ってブラウザ等の振り分けをすることがあるが、視覚障害者の方のために環境変数か何かで振り分けるような仕組みはどうか。
大藤氏: JAVAスクリプト等やサーバ側のプログラムでブラウザを判別して、ブラウザによって適用するスタイルシートを分ける例は多い。賛否両論あるが、間違って振り分けると、本来見られるはずのものが見られないということもある。
植木氏: そもそも代替ページは、すべてが必ず同じ内容になっていることが重要。本体のサイトを更新したら、別バージョンも必ず更新することが守られるのであれば、やってもよいと思う。現実では、本体だけ更新して、別バージョンが更新されていないことがあるので、薦めていない。同じものをいろいろな方法で使うことをめざすべきだと思う。
安藤: 振り分けることは技術的には可能だと思うが、差別につながらないように、障害者用のブラウザをサーバ側で判別しないようになっている。
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