実証実験を通じて、視覚障害者の方々から交流会やアンケートなどにより頂いたご意見を基に、事務局なりにまとめたレポートです。
以下に、レポート(プレゼンテーション資料)からテキスト部分を抜粋したものを掲載しています。
→ オリジナルのレポート(プレゼンテーション資料、PDF:200KB)はこちらから
この資料は全部で8章だてですが、第3章と第6章、第7章はその中がまたいくつかのピックスに分けられています。
特定のウェブサイトから欲しい情報を取得する作業のプロセスを、全盲の視覚障害者と健常者とで比較すると、全盲の利用者の方が、ウェブサイトやページにおける構造の把握や確認のための作業が非常に多いことがわかる。
初めて訪れるサイトでは、トップページをひととおり読み上げ、ページの内容や、サイトの機能(サイト内検索ができるか等)、サイト全体の構造を把握する。この際以下のような問題が発生する。
リンクを辿るよりも、キーワードによるサイト内検索を行う傾向があるので、検索ボックスの位置を探す。この際以下のような問題が発生する。
何度か訪れたことのあるサイトでは、ページの全体を読み上げるのではなく、リンクだけを読み上げ、リンクの文章を頼りに欲しい情報を探す。この際以下のような問題が発生する。
あるページにアクセスした際、はじめに読み上げられるページタイトルを聞いて、ページの内容を確認する。この際以下のような問題が発生する。
ページ内で、目的とする情報に早くたどりつくために、キーボードのtabキーでリンクを移動したり、音声読み上げソフトのリンク読み、見出し読み、早送り機能等を使って不必要な部分を飛ばし読みする。この際以下のような問題が発生する。
目的とする情報が探せなかった場合は、何度もメニューと各ページを行き来しながら情報を探す。この際以下のような問題が発生する。
音声では正しい情報が得られなかった場合は、理解できる形に頭の中で変換したり、情報加工する。この際以下のような問題が発生する。
これまで見てきた各段階の問題に対して、以下のような解決の方向性が考えられる。なお括弧内の数字はWCAG1.0のチェックポイントと優先度を示している。
したがって弱視の視覚障害者のウェブサイト利用については、以下のことが言えるだろう。
弱視の視覚障害者のウェブ利用方法は、大きく分類すると以下の4つが挙げられる。
障害の状況や、情報取得のための必要性に応じて、これらの方法を組み合わせて利用することが多い。
まずウェブサイトのどんなページを見るときにも、次の利用の準備が必要である。それから、トップページの場合、各ページの場合それぞれ以下のタスクが存在する。
前項と同様に、実証実験の協力者に多かった“視覚でのウェブ利用がある程度可能な弱視障害者”が視覚的にウェブを利用する場合の問題点を以下に整理する。
配色設定等の変更によるコントラスト調整や、ブラウザ等の設定変更による文字サイズの拡大縮小などがユーザー環境で自在に行えない場合、円滑にサイトから情報を得ることが難しくなる