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思いが指先からあふれ出すコミュニケーションアプリ:『しゃべり描き®UI(ユーザーインターフェース)』

3 見せ方の工夫次第で、より多くの人に使ってもらえるストレスの少ないツールに

ユーザーの方の反響はいかがでしょうか。

実証実験にご協力いただいた方々、特に聴覚障害者の方々から「ぜひ実用化してほしい」とポジティブなお声がけをいただきます。

聴覚障害者の方が熱望されているというのは少し意外かもしれませんね。実際に使うのは聴覚障害者ご当人よりもご家族や一般の方というイメージがありました。

おっしゃる通り、実際に触って使用するのは聴覚障害者の方ではなく、彼らに相対するご家族やそれ以外の方です。その上で聴覚障害者の方が『しゃべり描き®UI』を欲しいと言ってくださる理由は、このツールによって人にお願いがしやすくなるからなんです。

実は筆談は意外と手間がかかるため、聴覚障害者の方が道行く人に「道を教えて欲しい。この手帳に書いて欲しい」と頼むのは、かなり心理的ハードルが高いようです。『しゃべり描き®UI』なら話しながら画面をなぞってもらうだけなので、時間も手間もかかりません。家族や友人はもちろん、見知らぬ人にも助けをお願いしやすいんだそうです。

なるほど。音声も正確に聞き取ってくれますし、簡単なので、頼まれた側もストレスなく使用できそうです。

よく「音声認識の精度が高いですね」「反応速度が速いですね」と言っていただくのですが、正直な話、使っている技術は一般的なもので、難しい設定は何も加えていません。既存の機能を新しいデザインでパッケージングしただけなんです。

それなのに、皆さん精度が高いと褒めてくださる。その理由は『しゃべり描き®UI』の特徴に関係していると考えています。

操作性についても、効果音だけでなく、ボタン自体に動きをつけるなどして判りやすさを追求している
  操作性についても、効果音だけでなく、
ボタン自体に動きをつけるなどして判りやすさを追求している

声を発してから指で画面をなぞったとき、文字が浮き出てくるまでにほとんどタイムラグがないことにも驚きました。こういった使いやすさが『しゃべり描き®UI』の特徴に関係するというのは、どういうことなのでしょうか。

まず、音声認識精度の話です。実は、現在の音声認識機能は正しい日本語を入れれば正常に認識されるレベルにあります。よく誤認識が起こるのは、本当は自分たちが正しい日本語を適切な文節で入力できていないからだと言われているんです。

このアプリはその性質上、画面を指でなぞる動作が生じるため、ユーザーが画面内に文字を収めようとしてシンプルで短い文章を話すように自然と心がけてくれます。

また、なぞるという動作自体が「書く」という動作を意識させるため、無意識に「書き言葉」を話していることが多いこともわかりました。ユーザーが丁寧な日本語を入力しているので、機械もストレスなく音声認識できるということです。

タイムラグが無いように見えるのも似たような理由で、本当は認識してから文字を表示できる形にするまでにはある程度の時間が必要です。そこを指で画面をなぞるという作法と、あえて1文字ずつ流れるように文字を表示させることで「字を綴っている」という感覚を強調し、タイムラグを感じさせないように見せているんです。

使ってもらえなければ、本当の意味でコミュニケーションのあり方を変えることはできません。操作の作法や見せ方でユーザーのストレスを大きく軽減することは、より多くの人に使ってもらうための大切な一歩だったと思っています。

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