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文字を読むことが困難なすべての人に向けて開発されたスマートグラス「OTON GLASS」

1 ハンズフリーで文字を認識できる次世代の装置

「OTON GLASS」開発のはじまりは、代表取締役の島影圭佑(しまかげ けいすけ)の学生時代に遡ります。当時、島影は大学でプロダクトデザインを学んでいたのですが、在学中に父親が交通事故に遭い、脳の障害「失読症」を発症してしまいました。物を目視したり、人と会話したりと、視覚や理解力に問題はなかったのですが、文字を読んで理解することができなくなったのです。これを機に、失読症や視覚障害などが原因で文字を読むことに悩む人を助けるためのツールを作ろうと思い付き、2013年からスマートグラス「OTON GLASS」の開発をスタートしました。ちなみに、名前「OTON」の由来は、「お父さん(オトン)」と「音」の2つの意味をかけた造語になります。

タブレットやスマートフォンのアプリで、文字を撮影して音声に変える文字認識技術は、それまでもたくさんありましたが、どうしても手が塞がってしまいます。特に、視覚障害の場合、外を歩く時には、白杖(はくじょう)を使用したり盲導犬を連れたりして歩いているので、片手が塞がってしまいます。その状態でさらにスマートフォンなどを持つと、両手が使えなくなるので不便になるという話も耳にしました。その点、メガネ型のスマートグラスに、文字を音声に変える技術を搭載すれば、ハンズフリーで済みます。そのため、開発当初からメガネ型にこだわっています。協力していただいている視覚障害者にも使ってもらったところ、ハンズフリーの状態で使えると非常に便利だ、という感想が多く寄せられました。 具体的な使い方ですが、「OTON GLASS」の眉間部分にカメラが内蔵されているので、たとえば名刺や看板を見た状態で、メガネの縁に付いているボタンを押すと、カメラのシャッターが切られ、写真を撮影します。撮影した写真は本体ユニットに内蔵されている「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」という小型コンピュータが文字の部分を認識して、音声で読み上げる処理を行います。文字を読み上げる仕組みをまとめると次のようになります。

現在も改良を継続している「OTON GLASS」。眉間部分の小型カメラで文字を撮影する
  現在も改良を継続している「OTON GLASS」。
眉間部分の小型カメラで文字を撮影する

(1)OTON GLASSに搭載されたカメラで撮影した写真を、クラウドにアップロードする
(2)クラウド上でGoogleの画像認識エンジンを利用し、写真に含まれる文字を抽出する
(3)同様に、音声合成エンジンで文字を音声データに変換する
(4)音声データをダウンロードし、OTON GLASSから再生する

利用するには、Wi-Fiやスマートフォンのテザリング機能などを利用して、ネットワークへの接続が必要です。通信速度や文字量にもよりますが、数秒で音声に変換され、10秒以上かかることはほとんどありません。名刺なら3秒から5秒程度です。

メガネ型にすることで文字認識にまつわる煩雑な操作を省くことができる
  メガネ型にすることで文字認識にまつわる煩雑な操作を省くことができる

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