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電話リレーサービス・モデルプロジェクト 日本財団の取り組み(3/4)

3 電話リレーサービスのシステムをさらに進化へ

  2015年度からは、さらにシステムを進化させるため、WEB上に統一的なプラットフォームを導入し、利用者にも事業者にも使い勝手のよい電話リレーサービスを構築する方針です。

  聴覚障害利用者はiOS、Androidのいずれにも利用可能な専用アプリケーションをスマートホン、タブレットにインストールして利用するか、パソコンを利用して専用プラットフォームにアクセスして使います。通訳者も専用プラットフォームにアクセスし利用者とのコミュニケーションを取り、相手先への電話を行います。これまでは事業者や伝達手段よって、使う端末やアプリケーションが異なっていましたが、専用プラットフォームの導入により統一的な運用ができるようになります。

  このプラットフォームでは、まず、聴覚障害利用者がログインすると画面にダイヤルパッドが現れます。利用者が相手方の電話番号を入力します。次に手話、文字、音声プラス手話、音声プラス文字の4つの方法のどれを使うかが表示され、いずれかを選びます。次に利用する事業者を選びます。これまでは、事前に登録した事業者しか利用できず、事業者の変更もできませんでしたが、このプラットフォームでは通話の都度、どこでも選べます。従って、しばらく使ってみて自分に分かりやすいとか、相性がよいとか感じる事業者を選べることもできます。事業者を選択する際には、すぐに対応可能な事業者や待ち時間が色別に表され、さらに待ち時間についても「○○人待ち」などと表示されるため、聴覚障害利用者のイライラの解消にも役立ちます。

  この時点で、事業者のサービスセンターにつながり、センター内の空いている通訳者に自動的に振り分けられるような仕組みになっています。この際、事前にインプットされていた利用者の、通訳するのに分かっていた方がよいだろうと思われる必要最低限の個人情報も表示されます。必要なやりとりをした後、すでに電話番号も入力されているため、通訳者がボタンを押すだけで相手方に通話できます。そのあとは、これまでのシステムと同様、通訳者が内容を通訳します。

  新システムでは、センターに聴覚障害の利用者からのコールが入ってから何分間待たされたとか、通話が始まってから終わるまで何分かかったとか、さらに通話が終わってから利用者とのやり取りが終わるまでにどのくらいかかったとかの記録もすべて取れます。電話リレーサービスの利用以外に、通訳者をおしゃべりの相手にする方もいて、通訳者も何か応援しなければならないと感じて相談に乗ったりするほか、聴覚障害利用者の中には「つながるまでかけてくれと」という人もいて、通訳者が何時間も相手方に電話するという事態が時折起きています。こうした状況をつぶさに把握して、対応を取るためにも実態の把握が必要と考えられます。

  一方、Skype利用などでは、聴覚障害の利用者から受けることのできなかったコール数や、待ち時間がどの程度発生していたのか、などの状況が分からなかったわけですが、新システムでは分かりますので、どの時間帯や曜日に人を厚く配置すればよくて、どの時間帯なら人が少なくても十分に対応できるかなどが分かり、人員配置も適切に行えます。また、事業者への支払いは利用登録者数に応じたものから、実際に通訳を提供した時間に対して1分当たりの通訳料単価に基づく支払へと変わりますので、公共サービス化へ向けて必須となる、より透明で効率的な運営が可能になります。

  さらに、聴覚障害の利用者にはID以外に050で始まるIP電話の番号も振り分けて、プラットフォームでこの2つを紐付けします。最初に電話を受けた相手が「調べて、折り返し電話します」というようなこともありますから、相手がこの番号に電話すれば、自動的にあらかじめ利用者が設定したセンターの通訳者につながるようにして、通訳者が当該の聴覚障害者を呼び出して、電話の内容を通訳することも考えています。呼び出しはスマホのバイブレーションやフラッシュの機能を使えば可能です。この機能があれば、電話の使い勝手がさらによくなり、利用が広がると考えています。

  このシステムの導入に伴い、聴覚障害利用者の募集も来年度は段階的に5000人程度にまで広げ、2016年度には1万人まで利用者の枠を拡大できればいいなと考えています。

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