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日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)の活動と遠隔情報保障(3/4)

3 遠隔情報保障の必要性

続いて三好さんから遠隔情報保障システムについてお話を伺いました。

遠隔情報保障システムの開発に取り組む三好茂樹さん
  遠隔情報保障システムの開発に取り組む三好茂樹さん

  障害学生に対する情報保障は、従来からのノートテイクやパソコンノートテイクでは、基本的に情報保障者(音声を文字にして提供する者)側と利用者(聴覚障害学生)側が同じ場所にいる必要がありました。遠隔情報保障システムを使うとそれが解消でき、別々のところにいても、利用者側に情報が届けられる大きなメリットがあります。

  実は、遠隔情報保障は、本学(筑波技術大学)の中で育ってきました。本学は聴覚・視覚障害のある学生を対象とした唯一の国立大学です。聴覚障害者が入学する産業技術学部では、学部の教員全員が手話や映像資料、板書などを使って伝えますので、通常の講義では、情報保障は果たされています。しかし、非常勤の講師の方が大勢、講義にお見えになり、その方々は手話ができない場合が多いので、その際は別途に情報保障が必要になります。在校生は皆、聴覚に障害があるため、ほかの大学のように在校生が保障者側になることはできないのです。従って、外部のスキルのある方に、パソコンノートテイクをお願いすることになるのですが、キャンパスの立地条件から、移動に時間がかかり、来てもらうのには大きな負担を強いることになりました。このため、遠隔情報保障システムを開発して、情報保障者がどこにいても、パソコンノートテイクで文字を入力できるようにしたわけです。現に、本学でお願いしている保障者は企業や任意団体、個人など様々ですが、東京、長野、沖縄など日本国中にいます。

  このシステムは、ほかの大学でも利用できます。利用者がいる場所に、保障者がわざわざ移動する必要がないので、キャンパスがいくつかにまたがっている大学や、保障者側のリソース(人材)が少ないところでは、リソースを有効に活用でき、ムラをなくすこともできます。

  東北地区大学支援プロジェクトでも使われた「モバイル型遠隔情報保障システム」は、2010年から利用が始まりました。ソフトバンクモバイルなどとの共同開発で、スマートフォンの通話機能を使って、話者(教師)の話を遠隔地にいる情報保障者に送り、それをパソコンに文字データとして入力し、利用者のスマートフォン送るというものでした。(情報バリアフリーのための情報提供サイト 2011年3月掲載 「講義を字幕化し聴覚障がい者をサポートする『モバイル型情報保障システム」 参照)

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