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聴覚障がい者に情報提供するスマートグラス(4/4)

4 将来に向けて

  我々の製品は障がい者専用に作っているものではありませんので、ハードウエアが持っている機能に、ソフトウエアやアプリケーションがどんどん入ってくることによって、人それぞれの価値に適応していくことができます。軽くなったといっても、まだ88グラムもあり、長い時間掛けるにはストレスがあると思いますので、軽量化を含め、我々はどんどん進化させていきたいと思っています。

  このようにMOVERIOを使えばいろいろなことができるのではないかと考えています。今は文字化する場合は音声をタイピングしていますが、音声認識の技術開発が活発になってきているので、声を文章化することも将来的には可能です。現在でも音声を文字化できますが、現状では精度に問題があります。もっと極端に言えば、ノイズキャンセリングの技術を応用することで、人の声の周波数を識別して、不特定多数は無理ですけれど、先生がしゃべっているとか、友達がしゃべっているとか、特徴点を検出することで、認識させることも可能になるかもしれません。さらにカメラが付いていますので、あらかじめ先生とか友達、お父さんお母さんの顔を覚えさせておき、向き合っている相手の顔を見分けて、しゃべっているのはその人かどうかも判断できるようなことも可能になります。このようにハードウエアとセンサー類の組み合わせで、もっともっと支援の幅が広がる可能性が高いと私たちは思っています。不特定多数が相手だと、個人情報保護の観点からハードルは上がりますが、情報を開示してもいいよという相手ならば、通常のコミュニケーションを支援することはそう遠くない時期に、実現できると考えています。

  今でもスマートフォンなどで音声認識は使われていますが、それほど普及していません。普及しないと進化もしません。その点、エプソンのMOVERIOはハンズフリーということに価値があり、企業で作業支援のツールとして音声認識の開発を行っています。音声認識とMOVERIOに搭載されているカメラや無線通信、GPS、各種センサー機能などを組み合わせることで企業の作業支援ツールとして活用できると考えています。

  たとえば、巨大な物流倉庫で、どこにどの荷物を運べばよいかという案内をMOVERIOに表示させることもできます。MOVERIOを装着した配送作業者は、カーナビゲーションのイメージで「5メートル先を右に曲がったところにある棚の2段目」という風に表示される指示情報を見て、両手で荷物を持ったまま安全かつ確実に指定された保管場所にたどりつくことができます。

  土木作業現場では、ショベルカーなどの重機の操作時、重機オペレーターはMOVERIOを装着していれば、対象物を見たまま同時に作業指示を確認することができます。わざわざ作業指示を見るために視線を動かし、別モニターや作業指示書を確認せずにすむので、効率がよくなり安全性も高まります。また、MOVERIOのカメラ機能を使えば、実際に作業者が見ている風景や対象物を撮影し、離れた場所にいる監督者にその写真や映像をリアルタイムで送信して判断を仰ぐこともできます。その際、写真・映像撮影やメール送信といった操作も、音声認識を活用すれば声で行うことが可能になると思います。

  企業というのは自分たちに必要なものは徹底的に開発しますので、この方面での進化は相当なスピードで進むと考えられます。ここで言う企業というのは我々エプソンだけでなく、それを使う企業も含まれています。

  こうした技術の開発は、同じ観点で障がい者の支援にも十分使えるだろうと私は考えています。 今年軽量化したMOVERIO BT-200が出たことで、様々なサービスがより現実的になり、加速してきています。

  とはいえ、災害時情報のリアルタイム提供は、我々民間企業だけではどうすることもできません。方法はいくつもあるかとは思いますが、国や自治体には、社会インフラの整備という観点から取り組んでいただければと思っています。

取材日:
2014年9月
取材協力:
セイコーエプソン株式会社
新日鉄住金ソリューションズ株式会社

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