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現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者支援サービス・取組 > 難病者や重度障害者のコミュニケーションを支援するICT救助隊(5/5)

話し言葉で意思を伝えるのが苦手な人に向けた「DropTalk」(ドロップトーク)の開発(5/5)

5 話し言葉が苦手な人たちへのコミュニケーション効果

 話し言葉での会話が難しい自閉症の方などは、先の見通しが持ちにくいという傾向がありますので、視覚シンボルを使ったコミュニケーションはとても大切な手段です。視覚シンボルなどを使って予定表をきちんと示してあげると、不安が軽減される効果があります。

 これまで学校の朝の会では、自閉症の子どもがうまく司会ができないと、横に立った先生が代わりに全てを話してしまうことがありました。ドロップトークには、朝の会で使う視覚シンボルも入れているので、それをキャンバス上に並べるだけで先生の準備は完了します。あらかじめ登録されている語彙や音声では足りない部分については、クラスメートに問いかけることにして、クラスメートの写真を撮影し、「○○さんお願いします」という音声を入れておくと、それまで主体的に役割を果たせなかった子どもたちが、準備されたドロップトークの画面をタッチすることで司会進行ができるようになりました。今まで無表情だった子どもが、友達の視覚シンボルを押した後、返事をするかなと友達の顔を見るようになり、まわりの子どもたちの反応も変わりました。

 また、VOCAとしては五十音を押していく機器がありますが、肢体不自由で五十音をひとつずつ押していくのが困難な子どもたちにも、ドロップトークは役立っています。当校の学校祭の時に、「いらっしゃいませ」「○○円になります」など、お店で使うような言葉を並べておいて、iPadとドロップトークを使い、子ども自身でお客さんとやりとりすることができるようにして使ってくれた担任もいます。

 視覚シンボルのドロップスは、ドロップトークよりも前に公開していたので、使う人が増えています。従来の機器はかなり高価でしたが、iPhoneやiPadで利用できるようにしてから、保護者に勧めやすくなりました。視覚シンボルを使える上に手に入れやすいVOCAということで、使ってみたいという保護者からの声をいただいています。また操作がわかりやすいので、家族のコミュニケーションにも役立つようです。

 全国紙に「ドロップトークを使うようになって、障害のある孫とコミュニケーションがとれるようになり、とても楽しくなりました」という投書をしていただき、反響を呼びました。また、地元のテレビでも取り上げていただきました。

 最近では、全国のいろいろな学校から依頼があり、デモンストレーションや講演に出かけています。多くの方に注目していただき、ありがたく思っています。
※ドロップトークは、apple storeで購入し、ダウンロードできます。(「Drop Talk」、「Drop Talk HD」

取材日:
2013年1月
取材協力:
ドロップレット・プロジェクト
長野県稲荷山養護学校
エイチエムディティ株式会社

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