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点字を打つように文字入力ができるスマートフォンアプリの開発(1/4)

1. 携帯電話を用いた点字方式による情報伝達の可能性

現在、携帯電話はスマートフォン時代に突入しておりますが、視覚障がいを持つ方の中には「押しボタンのある携帯電話でさえ難しいのに、触って分かるボタンのないスマートフォンはとても無理」とおっしゃる方も多いのではないかと思います。ただし私は、若い人、ではなく、「若い心を持つ」人であれば何歳になってもスマートフォンを使いこなすことは可能と考えます。そのためには、点字の性質を十分に生かした優れたアプリケーションの開発が必要です。

私自身は、幼児期より強度弱視でしたが、高校1年で盲学校に転校し、20歳の時に全盲となりました。それで、通常の文字の世界も点字の世界もよく分かる立場になりました。そして、盲学校を卒業後、筑波大学付属盲学校(現在の筑波大学附属視覚特別支援学校)に教諭として勤務することになりました。学校に勤務してから、国会図書館のコンピュータ室の一部屋を占めるほどの大きな汎用コンピュータシステムで、1974年に、紙テープに記録された点字データから漢字を含む通常文への変換を行う実験に成功しました。また、1981年に点字キーによる卓上型としては日本で初めての視覚障がい者用日本語ワープロの開発に成功しました。そして、1995年の定年退職後に、鉄道の駅の乗車券自動販売機や銀行など金融機関の端末のタッチパネル化により、視覚障害がい者がそれらの装置を使えなくなるという新たな、タッチパネルというバリアの問題に直面しました。それで、これらのバリアに対して、各装置に電話式ボタン配列のテンキーを付けるなど、視覚障がい者にとって操作しやすい券売機やATMのあり方を具体的に提案しました。この提案が採用され、現在においても、その方法が広く用いられています。

それから約15〜20年、現在のスマートフォンでのタッチパネルによる視覚障がい者が直面しているバリアは、かつての駅の乗車券自動販売機やATMの全面的なタッチパネル化という点では共通です。しかし、今回は、装置の傍らに、触って分かる押しボタンを設備するなどして解決することができないのが、かつてのバリアとは全く違う問題です。そこで、簡単な方法で、タッチパネルに触れて点字の位置が分かったり、あるいは触ったところを点字の点にしてしまうという新しいアイディアを生み出し、このバリアを克服することに成功しました。

そもそも、現在世界各国で使用されている2点3桁=6点の点字は、1825年にフランスのルイ・ブライユという視覚障がい者が発明した、見えない人が指先で読むための文字です。それが日本に入り、日本式の仮名点字体系として完成したのが、1890年です。

ルイ・ブライユの点字の発明から約180年後の2003年、その指先で読む点字の1点を、ワイシャツのボタンほどの大きさの振動体で表現し、指先だけでなく、全身の体表で読めるようにした点字が「体表点字」です。

視覚に障害があるだけでなく、聴覚も不自由なヘレンケラーのような盲ろう者の人がいます。そして、指先の感覚が鈍くなった中・高年になってからの盲ろう者は、指先で点字を読めるようになるのは困難です。しかし、体表での振動体の点を読む「体表点字」なら読めるようになります。それで、この体表点字を応用した電話がヘレンケラーホンなのです。つまり、盲ろう者が電話をすることが可能になりました。

この盲ろう者のための、携帯電話を使った新しいコミュニケーション方法として開発したものが「ヘレンケラーホン」であり、その原理を更に応用しながらスマートフォン対応アプリとして開発したのが、「IPPITSU」であり、また、「IPPITSU 8/2R」「スマート点字」なのです。

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