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現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者支援サービス・取組 > 音声出題システムが受験の道を開く

大学入試センターでの音声出題システムの開発が、受験の道と未来を開く(3/5)

3. 見えない二次元コードにたどりつくまでの開発の道のり

大学入試センターでの音声出題システムの開発には、紆余曲折の歴史がありました。まずはカセットテープに録音して聴くというもので、古くから一般的に使用されていた方式です。しかしセンター試験のように、長文で問題の文書構造が複雑なもの、設問がたくさんあり、設問の中には問題文中の下線や空欄等を参照しながら解いていかなくてはならないものは、問題文の中を行ったり来たりしなければならず、そうするとカセットの巻き戻し早送り機能では、目的のところにピタッと止めることは至難の業になります。

その次は対面朗読といって、試験官が直接問題を読み上げるという方法がありました。これはまず前提として、試験問題が正確に読み上げられなければならないのですが、実際には人が行うことなので、いろいろと問題が出てきます。訓練をしっかり受けた試験官や朗読者を揃えなければ、対面朗読は実施不可能であろうということで、こちらもセンター試験では難しいという結論になりました。

その次に行ったのがDAISY方式の採用です。DAISYはカセットレコーダーに代わる視覚障害者の音声機器の標準規格として、現在広く使われるようになってきているものです。これは、早聴きができる、予め編集してインデックスをつけておけばそこにポンと戻ることができる等の利点がありました。しかし、DAISYでも問題文を全部読まないと文書構造は把握できない、また読みたい箇所に即座に飛ぶ、いわゆるランダム・アクセスが必ずしも容易ではありません。このため、センター試験には適さないだろうという判断になりました。

DAISYに続くシステムとして開発したのが、タブレットコンピューター方式でした。タブレットコンピューター方式とは、画面に問題文全体を出すのではなく、問題の文書構造だけを記号で表示して、電子ペンを当てると、そこから音声で読み上げる方式です。重度の読字障害者は長い問題文を目で読まなくても音声で問題を自由に読むことが可能となります。また、中途失明者も文書構造表を点字で印刷してパソコンに接続したタブレット上に置けば、読みたい箇所にランダム・アクセスして音声で読むことが可能になりました。しかし、パソコンを使用した方式のため、もしもパソコンのトラブルが発生したときに、試験官が対応しきれない、また秘密保持に問題がある等、実施面での大きな問題を抱えていました。

このような開発の経緯を経て、現在たどりついたのが、見えない二次元コードを用いた音声出題システムです。

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