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現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者支援サービス・取組 > より多くの人が使いやすい共用品。この発想を世界に発信したのは日本です

より多くの人が使いやすい共用品。
この発想を世界に発信したのは日本です(2/5)

2. 小さな凸表示はどのようにして生まれたのですか?

こうした玩具協会の取り組みに対して、いろいろな企業から問い合わせがくるようになりました。障害者だけを対象にした商品は市場規模が小さく、開発がむずかしい。それならば「誰にでも便利」をキーワードに商品の開発段階からデザインしたものを生産すればよいのではないかと考え、「共用品」を広めていこうと考えました。問い合わせをしてきてくださった企業や工業デザイナーなど16人が集まって、1991年に「E&Cプロジェクト」という研究会を結成し、障害のある人の生活の不便さ調査などを行いました。

不便さ調査の結果からまず出てきたのは、当時乗り物用のプリペイドカードの切欠きの形が各社同じでわかりにくいことでした。数種類のプリペイドカードを持つ場合の不自由さを見直すために、切欠きの標準化に向けて協力しました。

各種の不便さ調査を続けるなかで、消費者で何らかの障害のある人は高齢者も含め25%以上という結果を得ました。多くの不便さを検討して解決していくために、企業や業界の垣根を超えてルール作りにつなげるという大きな流れになっていきました。

たとえば、シャンプーとリンスの区別のわかりやすさについてたずねたところ、目の不自由な人だけでなく、髪を洗うときには目をつぶっているので多くの人からわかりにくいという回答がありました。その声がメーカーに届き、1991年に花王がシャンプーの容器にギザギザをつけました。花王が独自に実用新案を取得していたのですが、他のメーカーがリンスの容器にギザギザをつけると消費者が混乱してしまうと、企業の壁を超えて無料で公開されました。こうしてシャンプーのギザギザは、日本国内に広がると共にアジアの国々へも広がりました。これは先発で開発した会社から権利の無償提供を受け、規格を標準化していった事例です。

シャンプーボトルとギザギザ部分の写真
※資料2 シャンプーボトルの側面に付いているギザギザ

ほかにも業界全体で共用品の統一規格を作成し、表示をわかりやすく統一しているものがいろいろとあります。たとえば、家庭用ラップとアルミホイルの箱が区別しにくいという声を受けて、家庭用ラップの側面にマークをつけています。

"22cm×20m"の文字に重なったエンボスマークの写真
※資料3 触って区別できるようにした家庭用ラップ。
各社共通にラップ ("WRAP") の頭文字"W"の文字の上に点が4つついたエンボスマークが側面に浮き出ている。

ビール缶の上面につけられた点字の写真
※資料4 「お酒」を表す点字をつけたビール缶

携帯電話や電話機の5番のキーに小さな凸が付いているのをご存知でしょうか。小さなマークを付けることで、目の不自由な人たちは5の位置を知り、他の数字の位置を把握できるのです。また不便さ調査がきっかけで洗濯機のスイッチにも凸表示がつけられ、業界基準になりました。

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