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現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者の現状と課題 > 柔道の再開が自信を取り戻すきっかけ

柔道の再開が自信を取り戻すきっかけになりました
〜障害者柔道家・初瀬勇輔さん〜(2/5)

2. 障害者柔道の楽しさ、そして難しさとは

障害者柔道と一般の柔道との一番大きな違いは、組み手にあります。一般の柔道では、試合運びの7〜8割は、組み手争いで決まります。いかに有利な組み手をとってそこから技を出すか、相手に有利に持たれたときに、不利にならないようにどう逃げるかが重要になってきます。しかし、障害者柔道は、お互い組み手をした状態から試合を始めるので、組み手争いがなく、そのあたりの勘所がなかなかつかめず、当初は大変戸惑いました。

練習は、基本的には健常者の方と行うことが多いです。どこに行っても皆さんに温かく迎えてもらえましたし、練習のためにいろいろな交通機関を使って道場や体育館に通うので、自然と外に出る機会も多くなりました。いったん組んでしまえば、そこは格闘技、男と男の世界と言いますか、お互い同じ立場で向き合うわけですから、障害者と健常者という壁を乗り越えやすい。それも、障害者柔道の魅力の1つだと思います。

幸運なことに、最初に出場した大会で優勝することができたので、それを足がかりにいろいろな国際大会に参加したり、連盟の合宿に声をかけてもらえたりするようになりました。そこで、多くの柔道家と知り合うことができたことも、大きな収穫でした。

私は柔道を再開するまで、自分以外の視覚障害者を知らなかったのです。盲学校に通ったこともありませんでしたし。そのため柔道を通して「みんなが障害を苦にせず一生懸命に生きていること」や、「仕事を頑張っていること」など、周りのことを少しずつ知っていきました。視覚障害者柔道の世界には、仕事や子育てと両立しながら、人の何倍も頑張っている方が大勢います。そういう方々を目の当たりにすると、自分ももっと頑張らなくては、と。

柔道を再開するにあたっては、自分は健常者だという意識が強く、自信もありました。しかし、インターネットで調べると、視覚障害者柔道のレベルは相当高いということを知り、本当に怖くなり、踏み出すのに勇気が必要でした。でも今では、障害者柔道のおかげで、障害を持った自分が生まれ変わることができ、もう一度社会参加のきっかけになりました。とにかく自信を取り戻すきっかけになったのは間違いありません。

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