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聞こえない立場からユニバーサルデザインを提案しています(5/6)

5. 井戸端手話について教えてください

私には現在小学校三年になる息子がいますが、聞こえない中での出産育児は大変なこともありました。聞こえなくてヒヤリとした経験もあります。あるとき、画びょうが入った缶をひっくり返して、画びょうと戯れている息子にぞっとしたことがありました。もし、私が聞こえていたらもっと早くに危険を察知できたかもしれません。また、子どもが病気で咳をしていても、咳そのものが聞こえません。普通のかぜによる咳か喘息様の咳なのか判断できなかったのですが、今では息子の胸に手をあてることで振動の違いで区別がつくようになりました。

また、聞こえないと、近所づきあいを避けてしまう傾向もあります。現在の住まいに引っ越してきたのは6年前ですが、同じくらいの年齢の子どもさんがいるお母さんたちの井戸端会議になかなか入れずにいました。

ある日、一人のお母さんが「いつもやっている井戸端会議を手話でできるようにしようよ!」と言ってくれたのです。この一言がきっかけで、近所のお母さんたちと手話の交流が始まりました。これが「井戸端手話の会」です。毎週20人程度のメンバーが集まり、手話を学んでいます。6年間続けていますので、日常会話は普通に手話でできており、学校行事など簡単な手話通訳をお願いすることもあります。今回の取材で手話通訳のお手伝いをしてくれたのも、井戸端手話のメンバーです。

私が手話をきちんと覚えたのは、大学に入ってからでした。周りはみな聞こえない学生でしたので、おしゃべりをする中で1ヵ月ほどで日常会話は手話でできるようになりました。

また、私の息子は言葉を覚えるのと同じように、手話を自然と覚えて使えるようになりました。0歳で言葉でコミュニケーションができないときから、手話で思いを伝え合ってきたのです。手話って、赤ちゃんでも使える実はユニバーサルな言語なんですね。

子どもたちはコミュニケーションに対してとても柔軟です。私やママ友達が手話で会話をしている様子を見て、自然と手話を覚えます。息子の友達は、私と話をするときには肩をトントンと叩いて合図したり、口の形をはっきりと話してくれたり、聞こえない人との接し方を自然と心得ているように思います。

もともと、母親同士でのコミュニケーションを目的として始めた井戸端手話の会ですが、子どもや学校生活にもとてもよい影響を与えていると実感します。

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