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情報アクセシビリティとは何か(2/6)

2. 情報バリアフリーを実現していくために

情報を利用するには突破しなければならない壁が数多くあります。改正障害者基本法が求めているのは、そのような壁を乗り越えていくための施策を、総合的な視点で組み立て実施していくことなのです。本節では、これらの壁について説明していきましょう。

情報通信機器とサービスが購入可能であるということ

第一の壁は、情報通信機器やサービスの購入可能性です。高齢者・障害者等に配慮した機能が基本機能として装備されれば、一般消費者も自然にそれを購入するので、結果的に高齢者・障害者等の購入価格を低廉に押さえることができます。一方、支援機器として提供されたとすると、それは特定の高齢者・障害者等にしか購入されず、必然的に高額になってしまいます。高齢者・障害者等を配慮した基本機能を装備する方向で、施策を展開していくことが求められます。

同様にサービスについても購入可能性について配慮する必要があります。地上波デジタルテレビ放送がスタートしました。字幕付き放送など「高齢者・障害者に優しいサービスが充実していること」が売り物のひとつとなっています。しかし、サービスが提供されていない地域ではそれを利用できません。この地域的なデバイドを解決する必要があるのです。

情報通信機器を操作し、サービスを利用する能力があること

障害者に対するIT講習について言及されたのは「e-Japan重点計画2002」が最初でした。2003計画には「障害者・高齢者のIT利用の促進」の節が設けられました。パソコンボランティアを養成し、障害者等に向け、パソコン及びその周辺機器の使用方法について教育を施していくというのは、重要な施策といえるでしょう。

高齢者・障害者等に付与すべき知識は、機器の操作方法、ソフトウェアの利用方法などにとどまりません。情報セキュリティに対する基礎的な教育も受けておく必要があります。

提供される情報が認識でき、また情報を入力できること

情報がテキストの形で提供されても、それを読み上げて音声として出力すれば、視覚障害者もその情報を情報として認識することができます。画像だけの形で情報が提供されたときには、読み上げできないので、視覚障害者に情報が伝わりません。情報として認識できなければ、何の価値もありません。情報を情報として認識できるようにすることが、情報バリアフリー実現のために絶対必要なのです。

利用者側から情報を発信する場合も同様です。視覚障害者がキーボードでテキストを打つとしましょう。このときには、打ち間違いがあるかないかを障害者が自ら確認できる必要があります。視覚に頼らずに、あるいは聴覚に頼らずに情報の入出力ができることは、情報通信機器やサービスに対する基本的な要求条件です。

情報が容易に利用できること

情報通信機器やサービスの利用に関わる容易さも課題です。情報提供サイトは、どうすれば使い勝手が改善できるのでしょうか。どのような順番で、どのように分類しながら情報を提供していけば、利用者が簡単・便利と感じることができるのでしょうか。情報通信機器についても同様です。テレビ受信機用のリモコンには、字幕表示をオン、オフさせる切り替えスイッチがついています。これがリモコンの表面にあるか、それともいろいろな機能ボタンを押していって、やっとたどり着けるかということは、字幕表示機能を頻繁に使用する利用者には大きな問題です。

情報バリアフリーと情報アクセシビリティ

ここまで克服すべき四つの課題について考えてきました。四つの課題と情報アクセシビリティの関係について、図1を用いて説明しましょう。

情報バリアフリーと情報アクセシビリティの関係図です。図の次に説明があります。
図1 情報バリアフリーと情報アクセシビリティの関係

「情報が容易に利用できること」は「利用のしやすさ」、「使い勝手」に関連する課題で、専門的にはユーザビリティといいます。「購入可能であること」はアフォーダビリティ。「操作や利用の能力があること」を、コンピュータに関係する分野では、しばしばコンピュータ・リテラシーという言葉で表現しています。リテラシーとはもともとは読み書き能力で、それが転じて、話題としている領域での知識能力を指します。

最後に「情報が受発信できること」をアクセシビリティといいます。Access(接近する)とAbility(能力)が組み合わさった単語です。コンピュータの分野でアクセスというと、システムに接続したり、記憶装置との間でデータをやり取りしたりすることを指します。

以上に説明してきたように、アクセシビリティはバリアフリーの構成要素となります。改正障害者基本法のいう情報バリアフリーの実現には総合的な施策が必要であると指摘したのも、その言葉に複雑な意味と、多重的な課題が含まれているからに他なりません。

ここで話をややこしくすることになりますが触れておきます。それは「バリアフリー」という言葉が日本式英語ということに起因しています。英語圏では情報アクセシビリティが、単に受発信できることという意味を超えて、情報バリアフリーと同じ意味を持つ言葉として利用される場合があるのです。したがって、国内外で使い分けが必要になっています。

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