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ウェブアクセシビリティ・セミナー in 東京 講演内容(概要)

2003年4月19日に東京で開催したウェブアクセシビリティセミナーでの各講師の講演概要、アクセシブルサイト・コンテストの表彰式ならびにパネルディスカッションの概要をまとめました。

目次おわり:

a. 基調講演:『ウェブアクセシビリティの現状評価と将来への期待』

講師: 静岡県立大学国際関係学部 教授 石川准 氏

石川先生には、支援技術の開発者ならびに社会学者としての立場から、米国や我が国におけるウェブアクセシビリティの展開等について評価いただくとともに、今後行政が取り組むべき施策などについてご示唆いただきました。

講演内容(概要)

誰もが自由でいられるような電子情報市民社会を実現しようというのが、「みんなのウェブ」の考え方である。誰もが自由に情報にアクセスしたり、情報を発信できるようにするためには、「高い技術」と「正しい思想」が必要である。

「配慮を必要としない多くの人々と、特別な配慮を必要とする少数の人々がいる」というのは古い考え方である。「みんなのウェブ」の思想はこれではなく、「すでに配慮されている人々と、まだ配慮されていない人々がいる」という考え方である。

アクセシビリティはユニバーサルデザインと支援技術の共同作業で実現する。ユニバーサルデザインとしては、W3Cによるウェブコンテンツやユーザエージェントのガイドラインなどがあり、支援技術側では、視覚障害者が使うスクリーンリーダーや音声ブラウザ、上肢障害の方が使うオンスクリーンキーボードなどがある。また実際にアクセシビリティを高めるためには、オーサリングツールやアプレット、プラグイン、OSやブラウザもアクセシブルでなければならない。

視覚障害者はウェブページを一望することができないため、アンカー要素の内容を手がかりにしてページ内を検索している。そのため、もしナビゲーションスキップがなければ本文を読み飛ばしてしまう可能性がある。

フォームのアクセシビリティは最優先で取り組んでいただきたい。各コントロールにラベルをつけてコントロールの意味を明確にすることが必要である。これはW3Cのガイドラインで優先度2になっているのであまり実行されないが、視覚障害者にとってはとても重要である。JAVASCRIPTでonChangeを設定すると、キーボードショートカットを使うユーザはとまどうことになるので推奨しない。

Acrobat5およびAcrobat Reader5ではPDFはアクセシブルになったという誤解が一部にあるが、そうではない。確かにMSAA(Microsoft Active Accessibility)に対応したことで、IE+Acrobat Reader5では一部読めるようになったが、段組や表組みが正しい順序で読めないという問題がある。PDFをアクセシブルにするには、タグつきPDFを作成し、その中でアクセシビリティに配慮しなければならない。しかし現状ではタグつきPDFは全く浸透していない。私としてはアクセシブルなHTMLがベストであり、アクセシブルなPDFはセカンドベストだと思う。

FLASHオンリーページはどうにもならない。マクロメディア社は、FLASH MXからアクセシビリティに取り組んでおり、コンテンツ内のテキストや画像の代替テキスト、画面が変化したシグナルをFLASH Playerからスクリーンリーダーに渡したり、キーボードアクセスに対応したりしている。しかしどこまでアクセシブルにできるのかは未検証である。マクロメディア社のサイトには日本語の情報がないこともあり、日本ではアクセシブルなFLASHコンテンツは、一部の実験的なものを除いては全くないと思われる。そこで、FLASHをトップページに使いたいときには、HTML版を用意することが、現状では現実的なソリューションだといえる。しかしその際には、コンテンツはきちんと同期を取り、HTML版だけが取り残されることがないように注意すべきである。

「みんなのウェブ」が依拠すべき技術について。

  • 文法とガイドラインを守る
  • 論理構造と表現を分離させる
  • 表現に力を入れるのと同じだけ、論理構造にもこだわるべきだ
  • テクスチャル(言語的)な情報は、テキスト化して提示する、あるいはテキスト化できるようにすべき
  • できるだけオープンな技術を使う

WebのJIS化はぜひ実現すべきである。現在WebのJIS化作業が進んでおり、まもなくパブリックコメントにかかる、という段階に入っている。JISならば、公的機関は調達において尊重することになり、米国リハビリテーション法508条的な機能をある程度果たすことができるので、日本における現実的な方法だといえるだろう。どのような規格ができるかわからないが、技術を磨く努力をすればクリアできるという競争を刺激するような規格を望みたい。それにより、日本におけるWeb作成技術もさらに向上することが期待できる。

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b. 講演:『人間中心デザインとISO

講師: 沖電気工業 研究開発本部ITラボラトリ 主任研究員 三樹弘之 氏

三樹氏には、ISOの理解と適用を通じて、ITを誰にでも使いやすいものとするためにはどのようなことが必要かなどについてご講演いただきました。

講演内容(概要)

ISOには、ISO9000(品質管理)やISO14000(環境)、また人間関係に関するISO(寸法や体格を考慮して、電子機器の高さなどを考える)、疲労・負荷に関するISOなどがある。

Web構築については、単にユーザビリティだけを考えるか、ユーザエクスペリエンス(サポートサービスなども含めて、ユーザがサイトを使った経験を考える)まで広げて考えるか、あるいは顧客満足度の向上を目指すのか、目指すレベルによってプロセスのレベルも変わってくる。

Web関連のISOについては、全体規格、関連規格等を、なるべくW3Cと重複しないように作成している。

電子情報関連の使いやすさに関する規格に取り組んでいる団体は、ISO、ISO/IEC JTC1、IECであり、それぞれが作成している規格で矛盾がないか確認したり、重複する部分について情報交換するなどして協力して規格を作成している。

技術の進歩の早さに規格が追いついていかなければならないため、PASやTSという種類の文章を用意した。これらはまだ国際標準にするほどの国際的な同意は得られていないが、現段階で規格に近いものができるというときに作成される。

製品開発において人間中心設計を行うためのプロセスを示したものとして、ISO13407が1999年に制定された。ISO13407では、人間中心設計を行うためには、まず「人間中心設計に対するニーズの明確化」を行った上で、以下の4つのプロセスを繰り返すことが必要であるとしている。

  • 利用状況の理解
  • ユーザー要求の記述
  • プロトタイプの作成
  • 設計評価

このISOは、「利用における品質(使いやすさ)を達成するためには次の3つの視点が必要である」という考え方に基づいて作られたものである。

  • 製品に対するガイドライン
    (ウェブアクセシビリティのガイドラインもこの中に入る。)
  • 設計プロセスに関するガイドライン
  • 組織・人に対する取り組み

WWW関連の取り組みについては、マルチメディア関連の規格作成が困難だったこともあって遅れている。マルチメディアについては、ISO14915/FDISというものを作成しており、パート1とパート3が国際標準になっている。パート2は国際標準の一歩手前である。内容は、パート1は設計原理とコントロール、パート2がナビゲーションとコントロールの話で、パート3はメディアの選択となる。

高齢者、障害者対応については、ISOガイド71というのがある。この「ガイド」というのは、「ISOの通常の規格を作成する際に参照すべきガイド」という意味である。ガイド71のよい点は、「包装容器」、「取り付け」などの各項目に対して、規格を作成する際に注意すべき点をマトリクスにまとめてあるところである。

またソフトウェアについてのガイドラインでは、まだ国際標準には達していないがISO/TS 16071というのがある。これは「支援機器等を意識し、支援機器を追加する必要性を少なくする。」ことを主目的にしている。3段階で重要度を分け、OSとアプリケーションの分担を明確にしている。

日本では、ISOガイド71を頂点として、生活用品や情報のアクセシビリティのJIS化が進められており、ウェブアクセシビリティについてもJIS化に向けて作業がすすんでいる。またユーザビリティについても、工業会やその他の委員会などのつながりが強化され、参加メンバーも増えてきており、充実してきている。

ユーザビリティの評価手法には、ユーザ観察やインタビューなどのユーザ参加型手法と、専門家評価などのユーザ非参加型手法がある。また評価した結果を報告するためのフォーマットについても、アメリカからISOへ規格案の提出があり、規格作成に取り組み始めている。

最後に、実際のソフトウェア開発との整合性についても、ISO、IECなどが情報交換をしながら作業が進められている。

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c. 講演:『アクセシブル・サイト構築技法の最新動向』

講師: ZSPC 代表 大藤幹 氏

大藤氏には、508条施行後における米国でのウェブ制作手法の変化を概観しながら、ウェブ制作に関わる技術面あるいは標準準拠をキーワードとしたウェブ制作のあるべき姿などについてご講演いただきました。

講演内容(概要)

米国のリハビリテーション法508条は、2001年6月21日に施行された。「すべての電子情報技術についてアクセシビリティの基準を設け、連邦政府は過度の負担とならないかぎり基準を満たしたものしか調達しない」という法律である。ウェブサイトのアクセシビリティについてはW3Cのウェブコンテンツ・アクセシビリティガイドライン1.0の、優先度1のチェックポイントとほぼ同等の内容になっている。

この法律の施行後、アクセシビリティをチェックするツール類がリリースされ、それに伴って講習会なども頻繁に開催されるようになった。しかし、実際に連邦政府や州政府のウェブサイトを調べてみると、アクセシブルであるとは言い難いのが実状だ。

アクセシビリティを確保するために重要なことは、「すべての情報をテキストで提供する」ことと、「環境に合わせて表現を変えられるように構造を示す」ということである。

アクセシビリティを高める方法には2つある。1つは「バリアフリー的アプローチ」。これは、どのように表示されるかだけを考慮して制作し、できあがってからアクセシビリティを確保しようという従来の手法である。リハビリテーション法508条の施行によって行われたのは、基本的にこの「バリアフリー的アプローチ」であったが、この手法では結局無理が生じる部分があり、アクセシブルにするのは非常に難しい。もう1つは「ユニバーサルデザイン的アプローチ」。これは初めからアクセシビリティを考慮してウェブサイトを制作するという手法。W3Cの仕様に従い、構造と表現を分離して制作するということである。

昨年秋頃から、このユニバーサルデザイン的アプローチでウェブサイトをリニューアルする例が海外で目立ってきた。ワイアード・ニュース、オペラ社、クリエイティブコモンズなどのウェブサイトでこの手法がとられている。これらのサイトでは、共通して以下の3つの特徴が見られる。

  • XHTML1.0+CSS2で標準仕様に準拠して制作する
  • バージョン4世代のブラウザにはスタイルシートを適用しない
    (具体的には、link要素のmedia属性やCSSの@import命令を利用して、外部CSSを読み込ませないようにする。)
  • 表示に関するブラウザの問題はスタイルシートで回避する
    (例えば「ボックスモデルハック」という手法を用いると、ブラウザによる幅や高さの解釈の違いを調整し、これらを正確に指定することができる。)

標準仕様に従い、構造と表現を分離して制作するメリットには次のようなものがある。

  • アクセシビリティを容易に高めることができる
    WCAG1.0のチェックポイント65個のうち、4分の1から5分の1は自動的にクリアできる。)
  • 制作やメンテナンスが容易になる
  • 外部スタイルシートを用いることで1度に多くのページのデザインを変更できる
  • ファイル容量が激減し、表示も速くなる
    (テーブル関連のタグやFONTタグなどがなくなることで、ファイル容量を2割から5割程度減らすことができる。)
  • 検索エンジンのロボットに対しても情報を伝えることができるようになり、SEO(検索エンジン最適化)の点でも有利になる
  • より多様な環境で利用可能になる
  • 将来的にもデータとして利用できる
  • 今後登場する新しいブラウザにも対応できる

日本でも、海外と同様の手法でリニューアルした事例がすでに出ており、今後ユニバーサルデザイン的アプローチによるウェブサイトが増えていくものと思われる。

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d. アクセシブルサイト・コンテスト表彰式

1 講評内容(概要)

審査委員代表: ゼノン・リミテッド・パートナーズ代表 神崎正英 氏

多くの方からご応募をいただいた。講評というよりは、審査の中でどういう話が出て、今後のアクセシビリティを考える上でどのような課題があるかについてご紹介することで、審査のご報告としたい。

アクセシビリティを確保するためにはいろいろ細かな配慮が必要なため、審査は減点法になりがちだが、建設的な審査をするために、「この作品はこの点が優れているので推薦したい」という観点で部門賞を選び、さらに特別賞を選んだ。

今後のアクセシビリティを考える上での課題を3点取り挙げたい。まず、とても情報量の多いページでアクセシビリティとユーザビリティを両立させることの難しさ。2つ目は、デバイスや環境に依存しないページ作りをどのように実践するか。3つ目は、アクセシビリティとデザインの洗練をどのように両立させていくか、である。

まず、「情報量の多いページでのアクセシビリティとユーザビリティのトレードオフ」について。公共や民間企業のサイトは、利用者のターゲットが広いので、どうしても情報量が多くなる。特にトップページは、最近の傾向としてとても情報量が多い。そこで、このようなページにおいてアクセシビリティをどのようにして確保するかが課題になるが、やはり構造化をきちんとすることがポイントになってくるのではないか。例えば、見出し要素をきちんと使っていれば、音声ブラウザで閲覧したときにも欲しい情報にすばやくアクセスできるようになる。「文章を構造化する」ということは、理屈ではよく言われるが、情報量の多いページで徹底することはなかなか難しい。しかし情報量の多いページほど、特に大きな効果を発揮するポイントではないか。

次に「デバイスや環境に依存しないページ作り」。これはアクセシビリティの基本としてよく配慮されていると思うが、実際の製作現場では、大きなPCの画面で確認して、音声ブラウザで読み上げられればOKと判断されるケースが多い。しかし世の中には、他にもPDAなどいろいろな種類の閲覧環境がある。そこで、より多くの環境で利用可能なページを作るためにも、基本に忠実に作ることが重要になる。例えば、テーブルレイアウトではなくスタイルシートを使う、幅や高さを固定しないといったことを実行すれば、よりよいページになっていくと思う。

最後のポイント、「デザインとアクセシビリティの両立」について。この点については、審査員の間でもたくさんの意見が交わされた。アクセシビリティの高いサイトは魅力のないページか?ということになってしまうと、アクセシビリティを広めていくというコンテストの趣旨と合わなくなるため、デザイン的にも洗練されていて、なおかつアクセシビリティにも配慮されているページを推薦したいという意見が多かった。アクセシビリティを高めるということは、「画像やマルチメディアを使ってはいけない」ということではなく、「適切な代替手段が提供されていればよい」という点がもっと強調されて然るべきではないか。

今回、多くの情報を伝えるために、文字サイズを小さく設定しているサイトが目立ったが、これはあまり望ましい方法ではない。高齢者にはとても読みづらいページになってしまう。1ページにたくさんの情報を載せ、ユーザがクリックする回数を減らすという配慮もあり、どちらを選ぶかは難しいが、文字を小さくするのではなく、ページを分割して提供する方向で考えていくとよいのではないか。

2 表彰式(受賞者の声)

プレゼンテーター: 電気通信アクセス協議会 会長 斉藤忠夫(東京大学名誉教授)

(1) 【既存サイト部門】

奨励賞: T-STUDIO.JP

「ありがとうございます。静岡の製作会社で仕事をしているのですが、勉強も兼ねて作っているサイトです。今後も仕事に生かせるように努力します。ありがとうございました。」

公共の部 部門賞: 大阪市ホームページ

「ありがとうございます。2年前からW3Cのアクセシビリティガイドラインの勉強会を始めまして、そのとき大藤さんの書かれたある雑誌の連載が非常に参考になりました。外国語のページも昨日リニューアルし、本日の受賞に間に合わせることができました。今後ともがんばっていきますので、よろしくお願いします。」

民間の部 部門賞: NEC公式サイト

「この度はこのような栄えある賞をいただきありがとうございます。講評にもありましたが、3つのポイントのうち一番目にあげられた、大規模なサイトで大量なコンテンツの末端まですべてにアクセシビリティを適用するということが、私どもでも大きな課題となっています。日常的な運用と規格的な部分との両立をどの様にうまくあわせるか、難しいですが、たいへん励みになります。どうもありがとうございました。」

個人・NPOの部 部門賞: おおさかな手帳

「個人部門での受賞ですが、仕事では公共サイトの制作にも携わっていますので、あまり間違っていなかったんだなと安心しました。これからも、自分なりに取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。」

特別賞: なこいゆホームページ

「仕事でも個人でも制作していますが、なかなか仕事の面ではほめられないので、これからもいろいろやっていこうと思います。評価していただいて非常にうれしく思っています。ありがとうございます。」

特別賞: あおぞら子どもセンター

「ありがとうございます。これを励みに今後ともがんばります。」

(2) 【オリジナル作品部門】

最優秀賞: 「レディメイド」斎藤氏

「こんにちは。グラフィックデザインをやっていますが、ウェブデザインは専門ではないのですが、いいデザインはアクセシビリティでもあるんだと証明しようと思います。」

佳作: 「みんなのウェブ:アクセシビリティ実証実験ホームページ」高橋氏

「このような場で選んでいただき、本当にありがとうございます。作っている中で、いかに自分が正しくやっていなかったか、痛感しました。これからも制作していくなかでできるだけアクセシブルなサイトを心がけたいと思います。」

佳作: 「ユニバーサルウェブ」末松氏

「このような賞をいただいて非常にうれしく思います。受賞を栄養にして、今後もますます、重要になると思われるアクセシビリティの研究をしていきたいと思います。」

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e. パネルディスカッション

講師全員のほか、電気通信アクセス協議会ウェブアクセシビリティ作業部会長の林喜男氏にも加わっていただき、これまでのウェブアクセシビリティへの取り組みと今後の課題について、パネルディスカッションを行いました。

コーディネーター役は、事務局(アライド・ブレインズ株式会社)の内田が務めました。

一つめのテーマ

内田: 林先生は電気通信アクセス協議会のウェブアクセシビリティ作業部会の部会長をこの2年間されてきましたが、そのような立場から、現状について感じていること、足りなかったことなどがあればお伺いしたい。

林氏: ユニバーサルデザインということを考えていく中で、アクセシビリティとユーザビリティの両方の兼ね合いでいいものが作れるとよい。障害者にとっては、まず使えるものを作らなければいけない。しかしそれだけでは不十分で、使いやすいもの、ユーザがイメージしたものに近いものを作るという点で、ユーザビリティも重要である。

二つめのテーマ

内田: 三樹さんに質問させていただきたい。個人や規模の小さな自治体では、各部署で担当してウェブを作っているケースがあるが、このような方々がISOJISの話をどこまで理解すればよいのか、また実際に取り入れていくときにはどのようにすればいいのかというところでご意見をいただきたい。

三樹氏: ISOは確かに複雑で、一つの事をしようとすると10ぐらいのISOをくっつけないと問題解決しない。これは国際標準として同意が得られるように限定して作成しているのである程度は仕方がないのではないかと思う。社内的には全社的な横断委員会を作って各部署に委員を配置したり、情報交換ウェブを設置して、一般の従業員からも新しい情報にアクセスできるようにするなどしている。会社として動くときにはリーダーが必要だが、それよりも担当者たちがコミュニティを作って一致団結することが重要である。

三つめのテーマ

内田: 石川先生には2点質問させていただきたい。まず、今後ブロードバンド化がますます進んでいく中で、マルチメディアコンテンツに対して、アクセシビリティの観点から注意すべき点は何か。また、マルチメディアコンテンツをプロではない方が制作するにあたって、どういうところを求めていくべきか。

石川氏: まずマルチメディアについては、アクセシビリティとマルチメディアの両立は可能だと思うが、実際には多くのマルチメディアはアクセシブルではない。ここで言う「アクセシブルでない」というのは、元がテキスト情報であるにもかかわらず、それを映像や音声などで提示して逆にテキスト化できなくなっているもののことであり、このようなものに対しては改善を求めていきたい。映像と音声だけでなく、テキストというメディアを追加して初めて「マルチ」メディアといえるのではないか。テキストの情報は支援技術などで利用可能であり、最も重要なメディアだと思う。

2つ目の質問について。公共性の高いサイトについては、アクセシビリティを強く意識していただきたい。個人サイトについては、アクセシビリティを理解し、配慮しているサイトには敬意を表するが、要望のトーンはかなり低くなる。

四つめのテーマ

内田: 大藤氏に質問したい。2年間実証実験をやってきたが、クリエーター側や発注者側の意識はどのように変化したか。また今後、アクセシビリティはクリエーターにとってどのような価値、意味を持つか。

大藤氏: 最初の質問に対して。ちょうど2年ぐらい前からウェブ関連の雑誌が出てきて、ちょうどいいタイミングでアクセシビリティの記事を書くことができた。今ではどの雑誌でもアクセシビリティが取り上げられ、それによってクリエーター、発注者側にもアクセシビリティという考え方があるということは広まってきていると思う。また今日のようなセミナーに多くの方が参加していることからも、関心が高まっていることを感じられる。ただ、一方で全く関心のない人もいるので、2極化が起きているという気がする。

また、2つ目の質問については、バリアフリー的アプローチとユニバーサルデザイン的アプローチでは、作り方が全く違ってくる。そのため新しい技術として受け止められるようになるのではないか。

五つめのテーマ

会場: アクセシビリティに配慮したサイトに対して、ISOなどのマークやバナーなどを提供することはできないか。

会場: W3Cでは、チェッカーがあって、チェック認定済みのマークを貼ることはできる。ただし日本での啓蒙は進んでいない。もちろんISOでもやっていただければ、その影響力は大きいと思う。

三樹氏: ISOでは、W3Cを尊重しているので、WAIのマークがつけばよいのではないか。ISOではマークについては考えていない。JISのほうでも検討していただきたい。

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