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ウェブアクセシビリティ改善講習会
〜J-WASを使ったウェブアクセシビリティ改善の実際〜

各地の実験協力地域などで実証実験を開始するにあたり、まずは実験参加者の皆さんにウェブアクセシビリティとは何か、ウェブアクセシビリティ改善のポイントなどについての講習会を開催しました。このレポートは、その時に使った講習会資料です。

以下に、資料からテキスト部分を抜粋したものを掲載しています。

オリジナルの講習会資料(PDF:834KB)はこちらから

この資料は、4章だてです。各章には番号がついた項目で、トピックスが区切られています。2章は特にページ数が多いので、2-1と2-2の2つに分けて目次だてしています。

目次おわり:

1.実証実験の概要紹介

1 “ウェブアクセシビリティ”の定義

高齢者や障害者など、心身の機能に制約のある人でも、ホームページで提供されている情報に問題なくアクセスし、利用できること。

2 ウェブアクセシビリティへの取り組み

95年以降のインターネットの爆発的な普及に伴って、高齢者や障害者にも利用が広がってきました。しかし、高齢者や障害者が ホームページを利用するには、さまざまな障害があることが次第に明らかになってきたため、どのような環境や状況の人でも、 アクセスできるホームページ作りが大きな課題となってきました。

そこで、総務省(旧郵政省)では、平成11年に指針を発表し、またそれに引き続いて昨年度、ウェブアクセシビリティ支援システムを開発いたしました。今年度から2ヵ年を予定しているこの実証実験は、このウェブアクセシビリティ支援システムの実効性を検証すると共に、ウェブアクセシビリティをみなさんに広く知ってもらう目的でスタートしたものです。

3 アクセシビリティの世界的な動向

ウェブアクセシビリティは、現在世界的な動きとなりつつあります。

アメリカでは、昨年改正されたリハビリテーション法508条で、ウェブのアクセシビリティが、連邦政府の調達基準として義務付けられました。施行はこの6月からでした。現在、米国の連邦政府関連のホームページはすべて、ウェブアクセシビリティが確保されています。また同様の調達基準を設定する動きが、州政府や地方政府にも波及しているようです。

また、国際規格のISOでも、ウェブアクセシビリティの規格化が進んでいます。

日本でも、政府の調達基準となるような、 2年後をメドにJISの規格化が進んでいると聞いています。

4 ウェブアクセシビリティの基準化の例

WWWで用いられる技術(HTML等)の標準化と推進を目的とする国際学術研究機関であるW3C(World Wide Web Consortium)は、ウェブアクセシビリティについて専門に研究しているWAIという下部組織をもっています。

このWAIが1999年5月に勧告したのが、WCAG1.0(Web Content Accessibility Guidelines 1.0)です。WCAG1.0はアクセシビリティレベルを3段階(「A」「AA」 「AAA」に整理し、14項目の満たすべき条件を提示しました。

これを受けて米国は、508条の2000年改正に伴って、連邦政府機関がウェブで提供する情報についても、一定レベル以上のアクセシビリティを満たすことを義務付けました。

5 ウェブアクセシビリティの点検ツール例

自分の作成・公開しているホームページが、基準を満たしているかどうかを点検するソフトウェアには次のようなものがあります。

Bobby
-障害者向け情報技術開発・普及に取り組む、米国のNPO「CAST」が提供。
-WAIWCAG1.0に従って、ウェブアクセシビリティをチェックし、問題点を見つけてレポート。
A−Prompt
-トロント大学とウィスコンシン大学が共同で開発。
-WCAG1.0に従ってウェブページの問題点を見つけてレポートするほか、発見した問題点を解決する手順も提供。
i−Checker
-日本IBMが開発・提供。日本語で使用可。
-読み上げソフトできちんと読み上げられるかどうかを中心に、基本的な項目をチェック。

しかしながら、既存の点検ツールを日本で使用する上で、次のような問題が指摘されています。

日本語化
-米国で開発されたものが多く、説明書きが英語。
日本語文字コードへの対応
-日本語ページを点検すると文字化けが発生。
日本固有の課題の存在と対応
-漢字かな混じり文の日本語では、英語の場合と同列に扱えない課題が多々存在。
-日本では、普及が進むモバイルからのインターネットアクセス時の配慮も重要。

6 日本固有の課題 −日本語表現を中心に−

さらに日本におけるアクセシビリティにおいては、特に日本語と関係した固有の問題が存在します。

同音異義語
-”市立”と”私立”は、両方とも「しりつ」と読まれ区別が付かない。
複数の読みと意味を持つ漢字
-”〜の方”が、「〜のほう」ではなく「〜のかた」と読まれてしまう。
難解な漢字
-読み上げが難しい。文字種の多さ、難易度の存在は他にも影響。
外来語、略語、造語
-特にネット世界では、高齢者等になじみ難い用語を多用。
複数の文字コード
-3種類のコード体系の存在、2バイトコードの使用による文字化け。
英文との表記の違い
-文節区切り、分かち書き(単語区切り)等の違いにより、WAIが提唱している点検の方法がそのまま使えない。

7 J−WASの開発 (平成12年度)

  • 総務省(旧郵政省)では、こうした課題解決を目指し、J−WASの開発に着手しました。
  • 電気通信アクセス協議会では、ウェブアクセシビリティ作業部会を設置、日本語の課題等について検討しています。
  • アライドブレインズ・電気機械工業会(CIAJ)は、総務省の委託による研究、ウェブアクセシビリティ作業部会への事務局協力を行っています。
  • J-WASの開発は、総務省から委託を受けた松下電器のチームが担当しています。

8 電気通信アクセス協議会のご紹介

電気通信アクセス協議会 http://www.ciaj.or.jp/access/
-わが国の電気通信を障害者・高齢者を含む全ての者が円滑に利用可能なものとする(アクセシビリティを確保する)ことを通じて、我が国の電気通信の均衡ある発展のために活動する組織です。
-設立: 平成10年11月19日、任意団体
-構成員
  • (提供者側)通信事業者・団体、通信機器メーカー・団体、
  • (利用者側)高齢者・障害者団体等、学識経験者・専門家、
  • (オブザーバー)総務省、厚生労働省
ウェブアクセシビリティ作業部会
-日本独自の課題にも配慮した、ウェブコンテンツのアクセシビリティ確保の方策について専門的に検討するため、電気通信アクセス協議会の下に平成12年9月、ウェブアクセシビリティ作業部会を設置。
-構成員
  • 学識経験者・専門家、高齢者・障害者団体
  • (オブザーバー)総務省、厚生労働省

-平成12年度の活動内容
  • ウェブアクセシビリティにおける日本独自の問題の検討
  • 別途総務省が開発に取り組むアクセシビリティ点検・修正システムが実現すべき機能についての提言
  • 具体的なウェブアクセシビリティのあり方についての検討
-平成13年度の活動方針
  • 総務省が実施する実証実験に対する支援、助言
  • 実証実験結果および実験期間中に発生した課題等の検討
  • ウェブアクセシビリティシステム(J−WAS)の機能改善の提案

9 ウェブアクセシビリティ支援システム「J-WAS」

アクセシビリティを総合的に支援する、3つの機能を提供。

(1) ウェブ点検・修正支援機能 (ウェブ制作者向け)

  • ウェブページのHTMLを点検し、問題点をレポートする機能。
  • 問題点を修正する手順を提供する機能。

(2) アクセス支援機能 (高齢者・障害者向け)

  • できるだけ利用しやすい形に自動変換する機能。
    • 色、文字の大きさを変更
    • フレームを非フレームに変換
    • 難しい用語に解説を付与 
    • 音声に変換(音声合成読み上げ)
  • どんなウェブでも変換が可能。

したがってよく利用するサイト、自動変換したい項目を登録しておけば、音声などのアクセス可能な形に変換できるわけです。

(3) アクセシビリティ体感機能

  • 一般のインターネット利用者に、さまざまな環境でのウェブの見え方、伝わり方を再現して提供。
  • なじみのない「ウェブアクセシビリティ」への理解を深めてもらう。
    • テキストブラウザでのウェブページ表示。
    • 音声読み上げソフトでのウェブページの読み上げ。
    • 色覚異常についての解説ページ。

10 J−WASの特徴

  • WCAG1.0に準拠
  • 対象HTMLを詳細にチェック(一般PC向け105項目、携帯向け36項目)
  • 日本語の言語特性の対応
  • 携帯電話向けコンテンツに対応
  • 利用者のレベルに応じた目標設定が可能

11 実証実験への取り組み (平成13年度)

実証実験の目的
-J-WASを多くの人に実際に使っていただき、システムの有用性や機能・使い勝手を評価し、改善につなげる。
-実証実験を通じて、ウェブアクセシビリティの重要性についての認識を広め、アクセシビリティの高い日本語ウェブページをできるだけ増やす。

(1) 実施体制

総務省の実証実験事務局(実証実験担当:アライドブレインズ、システム開発担当:松下電器産業)が次のような団体に参加要請・呼びかけを行って、実証実験を実施します。

  • 実証実験協力地域(岡山県、福岡市、仙台市)
  • 地元公共団体
  • 地元企業
  • 高齢者・障害者
  • 地域のNPO・NGO
  • 地域のプロバイダー・クリエイター
  • 高齢者・障害者団体
  • 各官公庁・公共機関
  • 主要民間企業
  • 有名サイト運営者
  • 関連NPONGO

(2) 実証実験の詳細情報とJ−WASの利用

実証実験公式ページ「みんなのウェブ」http://www.jwas.gr.jp/
トップページ「J-WASについて」から利用者登録が可能です。

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2-1.ウェブアクセシビリティとは

1 「ウェブアクセシビリティ」とは何か?

高齢者や障害者など、心身の機能に制約のある人でも、ホームページで提供されている情報に問題なくアクセスし、利用できること。 そのためには、ウェブ提供者が高齢者障害者の利用に配慮したホームページを制作することが必要です。

2 高齢者・障害者に配慮したホームページづくり

高齢者や障害者のホームページ利用の実態を理解することが第一歩。

  • 高齢者・障害者は、どのようにホームページを利用しているのか?
  • 高齢者・障害者がホームページを利用する際に、どのようなことが問題となるのか?

3 高齢者・障害者のインターネット利用

障害者・高齢者のインターネット利用は、年々広がっています。画面で示したデータは、平成11年に郵政研究所が調査した高齢者・障害者のインターネット利用率です。この時点では、高齢者の利用率は、0.6%、障害者では全体でみて、7.8%となっていました。

この調査から2年以上がたちました。現在、実際にはもっと利用が進んでいると思われます。例えば、高齢者利用者団体、シニアネットは全国で70団体くらいが活動しており、年々拡大しています。今後は、さらに拡大が予想することは確実だと思われます。

4 障害者にとってのホームページの重要性

ホームページは、私たちにとっても、とても便利なものです。しかし、特に障害者にとっては、それ以上に重要なものとなっています。

例えば、進行性のALSの患者さんの場合、人工呼吸器をつけており、外出することは困難です。しかし、インターネットを利用すれば、好きな野球チームの情報を得たり、ほしい新しいパソコンのカタログを検索したりすることができます。ホームページは、こうした外出が困難な障害者に対しては、社会と関わりをもつ接点として、重要な意味を持っているのです。

また、視覚障害者にとっては、ホームページによって入手できる情報が格段に広がりました。視覚障害者は、これまで、文章で表現された情報を得るには、大変な苦労をしてきました。

例えば、行政の広報誌の情報を得るにも、これまでは、音訳ボランティアが、音声で読み上げたカセットテープや、点訳版が制作ができるまで、待たなければなりませんでした。ちょっとした文字情報を得るのに、多くの時間と、人の手を借りる必要があったわけです。 しかし、ホームページが利用できるようになって、晴眼者とほぼ同じタイミングでニュースや情報を得ることができるだけでなく、自分自身の力で、自分のほしい情報を調べることができるようになりました。

5 高齢者・障害者のホームページ利用実態

  • 高齢者や障害者の立場に立って、ホームページの問題点を考えてみましょう。
  • 取り上げる例は、実際に起こる問題のごく一部です。

(1) 全盲の人の場合

  • 利用環境
    • 「音声読み上げソフト」や「点字ディスプレイ」など、ホームページを、音声や点字に変換する、特殊な補助装置を利用しています。
    • これらの補助装置では、ウェブのテキスト情報しか扱えません。
  • ウェブの問題点
    • 1.画像だ多用されており、情報が伝わりにくい
    • 2.主要な文章にたどり着くのに、時間がかかる
    • 3.文章の段組が適切でない
      • 画像などに代替テキストが入っていないと、どのような画像があるのか知ることができません。
      • ページの全体像をつかむことが、容易ではありません。
      • テーブル(段組)が適切でないと、文章が正しく伝わりません。

(2) 聴覚障害の人の場合

  • 利用環境は健常者とほぼ同様です。
  • 問題となるのは、ウェブで提供されている音の情報です。
    音声でのみ提供される情報がある、例えば音声つきのムービー(音声のみで提供される情報がある場合)では、字幕や代替テキストによる解説がないと、内容が十分に把握できません

(3) 肢体不自由の人の場合

  • マウスやキーボードがうまく利用できない人がいます。
  • マウスやキーボードの機能を、補助装置で代替している人もいます。
    フラッシュなどのマルチメディアコンテンツの中にあるリンクは選択できません。

(4) 色覚異常の人の場合

  • ある色の組み合わせの判別がつかない、判別しにくい人がいます。
  • 色だけに頼ったナビゲーションなどは、理解できないケースがあります。したがって色に意味がある場合、色以外にも区別する情報がないと違いがわかりません。

(5) 高齢者の場合

  • 白内障の人の場合は、視力の低下だけでなく色覚にも変化があり、青系統の色の識別が難しくなります。
  • IT関連の言葉や新語は不得意な人も多く、複雑な操作の習得も負担になります。
    視覚・聴覚・色覚に衰えが生じるため、視覚障害者・聴覚障害者と同様のわかりやすい配慮を必要とする場合が多いのです。

6 ここまでのまとめ

  • 1.みなさんのウェブサイトは、高齢者や障害者も利用してます。
  • 2.ウェブサイトの作り方によっては、高齢者や障害者が健常者と同じ情報を取得することが困難な場合があります。
    • 障害者が利用する補助装置によっては、情報が伝わらない場合があります。
    • 身体条件により、操作が困難だったり、画面や文章の認識が難しい場合があります。

したがってウェブ提供者が高齢者・障害者の利用に配慮したウェブコンテンツを制作することが大切です。

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2−2.ウェブアクセシビリティ確保のポイント

1 ウェブアクセシビリティを確保するには

高齢者・障害者に配慮したウェブを実現するには、具体的にどのようにしたらよいか?
『ウェブアクセシビリティ確保の指針』に基づいたウェブ制作を行うことが基本です。

2 ウェブアクセシビリティの指針の例

WAI (Web Accessibility Initiative)
「ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG1.0)」
国内で策定された指針
「インターネットにおけるアクセシブルなウェブコンテンツ制作方法に関する指針」(平成11年 郵政省・厚生省(現総務省、厚生労働省)による)

WCAGが示す14の指針

  1. 情報表示の代替手段を用意する
  2. 色だけに依存しない表現を使う
  3. 正しいマークアップとスタイルシートを使う
  4. 文書で使用する自然言語を明示する
  5. テーブル(表)は適切に表示・表現できるように記述する
  6. 最新技術を使えない利用者にも配慮する
  7. 時間的に変化する内容は利用者が制御可能にする
  8. 埋め込みオブジェクト(プラグイン)等もアクセシビリティをきちんと持たせる
  9. 装置に依存しない設計をする
  10. 古いブラウザ向けにも、暫定的な解決策を用意する
  11. W3Cの技術と指針を利用する
  12. 文脈や文書の流れを理解するための情報を整備する
  13. 明確なナビゲーションの機能を用意する
  14. 簡潔・明瞭な文書で情報を提供する

4 ガイドラインの正しい理解

【ガイドラインに対する誤解】
アクセシビリティの高いウェブを作るには、テキストだけで、画像や映像を使わないことを奨めている。
【ガイドラインの正しい理解】
画像やマルチメディアファイルを使っていても、より多くの利用者が情報を得られるようにする、制作方法を示している。

ウェブアクセシビリティの最も重要なコンセプトは『 情報伝達の保証 』です。

5 アクセシビリティ確保 4つのポイント

アクセしビリを確保するためには、以下の4つのポイントがあります。

  1. 情報表示の代替手段を用意すること
  2. 構造的でわかりやすい文章の記述
  3. 正しい文法・用法のHTMLの記述(特に構造タグの正しい適用)
  4. 理解しやすい識別しやすい配色や表現を心がける

中でも「1.情報表示の代替手段を用意すること」は、アクセシビリティが目指す、情報伝達の保証の基本的手段であり、もっとも重要度の高い内容です。以下でもう少し踏み込んで解説していきます。

6 情報表示の代替手段を用意すること

  1. すべての非テキストコンテンツ(音声や画像等)に同等の意味を伝える代替テキストを用意する。
    • 画像
    • Flash等のマルチメディアファイル
    • Javaスクリプトやアプレット等
  2. 特定の利用環境からでは利用できない可能性のある技術には、代替手段を用意する。
    • フレーム:noframes要素を提供
    • PDFファイル:HTML等代替文書を提供

(1) 非テキスト要素の代替手段の提供方法

  • 非テキスト要素の“alt属性”に、短い代替テキストを付ける。実現例) <img src=“bass.jpg” alt=“コントラバス”>
  • 長い説明を要する場合は、本文中もしくは別のファイルで、非テキスト要素と同じレベルの情報を提供する。

(2) 代替テキスト“alt属性”の効果

alt属性は、画像などが表示できないブラウザなどでは、画像の替わりに表示されたり、読み上げたりする。通常のブラウザでも、画像を表示しない設定にすると、alt属性の効果がよくわかります。

(3) 不適切な代替テキスト

代替テキスト(alt属性)があっても、内容が不適切で、アクセシビリティの向上につながっていないケースが非常に多く、適切な代替情報を提供することがポイントです。

(4) 代替テキストの役割

代替テキスト(alt属性)は、画像の存在を示すためのものではありません。

よく見かける不適切な例としては、サイトのロゴなどに、「タイトル画像」などの文章が入れられているものです。しかし、この画像が伝えているのは、そのサイトのタイトル情報のはずです。ですから、ALT属性はそのように入力すべきです。

つまりALT属性は、画像の存在を示すためのものではありません。画像の情報が正しく伝達されることを保証するような、代替テキストでなければなりません

(5) 代替テキストの例

  • 会社ロゴ:alt="会社ロゴ"ではなく、alt="アライドブレインズ"などと記入するのが正解です。
  • 「次のページ」アイコン:多くの場合alt情報はつけられていませんが、このアイコンはリンクですので、alt="次へ"などと記入するのが正解です。
  • グラフ等の画像:alt="グラフ"ではなく、alt="「はい」と回答した人:男性60%、女性35%"のように、グラフの内容を説明するのが正解です。

(6) alt属性と説明テキストの使い分け

なんでも alt属性に入れればよい、というわけではありません。例えば空き缶のリサイクル過程を説明する画像の場合、ALTに必要とされる説明も長文になります。

このような場合は、ALT属性のほかに、説明テキストを用意し、画像で示されている空き缶のリサイクル過程を、本文中またはリンク先で説明すればよいのです。

(7) 代替テキストを空欄とした方がよい場合

ワンポイントで画像を使う場合や、特に意味をもたない場合は、 alt属性をスペースにしてもかまいません。

ただし意味のない画像(スペーサー)場合でも、alt属性は付けてください。 alt属性がないと、“image”などシステム側で自動的に付与する文字が表示されてしまい、内容がわかりにくくなるケースがあります。

(8) (参考)非テキスト要素に“ヒント”を出したい場合

  • 画像等にヒントを出したい場合は、title属性を利用してください。
  • title属性は、HTMLのほとんどの要素に指定できます。

記述例)<img src=“bass.jpg” alt=“?” title=“空白に調べたい用語を入力してください”>

7 ウェブアクセシビリティ支援システムの活用

実際にアクセシビリティ確保の作業を行うとなると、すべての画像にこのような代替テキストを入れる作業をしなければなりません。そうなると、漏れがあったりして大変です。

また、HTMLの文法の記述などは、チェックするのはなかなか難しいのが現実です。こうした課題を解決するのが、ウェブアクセシビリティ支援システムです。

ウェブアクセシビリティ支援システムは、HTMLの構造を解析して、アクセシビリティの問題点を指摘してくれるシステムです。こうしたウェブアクセシビリティ支援システムを積極的に活用し、効率的にアクセシビリティ確保の作業を行うことが大変有効なやり方になります。

8 ここまでのまとめ

  1. ウェブアクセシビリティの重要なコンセプトは「情報伝達の保証」をすることです。
  2. ウェブアクセシビリティを確保するには、ガイドラインに従ってウェブを作ることです。
  3. 代替手段の提供は、ウェブアクセシビリティの基本です。情報伝達が保証されるような代替情報を提供しましょう。
  4. 効率的にアクセシビリティを確保するために、ウェブアクセシビリティ支援システムを活用してください。

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3.J-WASを使ったウェブアクセシビリティ確保の実際

1 アクセシビリティのレベル

J-WASでは、4つのアクセシビリティレベルを設定している。

  • 優先度+1:日本独自に定義した優先度17項目、全てのアクセシビリティレベルに求められる。
  • 優先度1:コンテンツ制作者が満たさなければならない優先度21項目、アクセシビリティレベルA以上に求められる。
  • 優先度2:コンテンツ制作者が満たすべき優先度55項目、アクセシビリティレベルダブルA以上で求められる。
  • 優先度3:コンテンツ制作者が満たすべきことを望まれる優先度19項目、アクセシビリティレベルトリプルAで求められる。

最低限『レベルB』は、どんなサイトでも必要です。

2 J-WASを使ったアクセシビリティ実現フロー

J-WASを使ったアクセシビリティ実現は次のような流れになります。

1.ウェブぺージの問題箇所を点検
J-WASにログイン後、対象となるインターネット上のウェブページを、目標レベルを設定して点検を行います。
点検手順は、自動点検、対話式作業による手動点検、点検結果の確認の3つです。
2.修正支援機能を使って修正
修正支援項目を確認して、修正支援機能を用いて、対話式作業で修正を行います。
3.テキストエディタ等でHTMLを直接修正
修正結果を保存し、保存したページをテキストエディタ等で直接修正します。修正方法についてはJ-WASを参照してください。
4.修正後のページを再点検
修正したページをサーバにアップ・更新して、再び1.の作業から繰り返します。

3 J-WASを利用する際のお願い

まだ十分に使い勝手がよくありませんがご容赦ください。例えば以下のような問題点があります。

  • 利用できるウェブページが限られます
  • HTMLに基本的な文法ミスがあると、正しく点検できない場合があります
  • 作業途中の状態を保存しておく機能がありません
  • 作業途中で、ブラウザの「戻る」機能を使用することはできるだけ避けてください
  • 作業手順がわかりにくい場合があります
  • エラーが発生した場合は、J-WASにログオンしなおすなどの対処が必要です

4 点検の作業手順

1.点検前の準備
対象とするウェブページのURLを確認します
2.ログイン・点検条件の設定
J-WAS(http://was.jwas.gr.jp)にログインし、目標レベル等を設定します
3.自動点検
J-WASが対象ページを自動で点検します。
4.手動点検
?マークが表示されている項目すべてについて、一つずつJ-WASからの問い合わせに回答します
5.点検結果の確認と問題点の把握
レベルの判定を確認し、問題点を把握します

5 修正の作業手順

1.修正前の確認
点検手順で?マークが残っていないか確認します
2.修正支援項目の確認
J-WASで修正できる項目を確認します
3.修正支援機能による修正
修正項目を一つずつ対話式に修正します
4.J-WASでの修正作業の終了

6 修正結果の保存・再点検手順

1.修正結果の保存
J-WASで修正を行ったHTMLを保存します
2.テキストエディタ等での直接修正
J-WASでは修正できなかった項目やあえて修正しなかった項目を必要に応じて修正します
3.ウェブサイトへの反映
修正後のHTMLファイルをアップロードします
4.再点検
目標とするアクセシビリティレベルが達成できているか、J-WASで再点検します
5.音声読み上げによる確認
「アクセシビリティ体感機能」を利用し、修正したウェブページが正しく音声読み上げできるか確認します

7 使い勝手の改善予定

  • 10月中旬までに、?マークの場所を特定しやすくする等の改善を予定しています。
  • 本年12月頃に、J-WASの使い勝手などに関するアンケート調査を行います。お気づきの点は、ぜひとも聞かせてください。来年度に向けた改修に役立てます。

8 今後お願いしたい取り組み

サイトをリニューアルする際のお願い

  • ウェブアクセシビリティは、ウェブをデザインする時点から配慮して制作したほうが容易。
  • サイトをリニューアルする際に、要求仕様として盛り込むのが効果的。
    • HTML 4.01 Strict に準拠した記述
    • スタイルシート等で、文章の構造と表現を分けること
    • 最低限以上のウェブアクセシビリティの確保

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4.今後の取り組みについて

1 実証実験の取り組み内容

実験事務局では今後次のような流れで実証実験に取り組んでいきます。

  1. 事務局は官公庁、民間企業や各サイト制作者、実験協力地域の自治体、地元企業、地元クリエイターなどへの利用呼びかけ、評価結果のフィードバック、講習会等の開催を通じて、J-WASの点検修正機能を使ってウェブページの改善を行ってもらいます。
  2. またモニター利用者、実験協力地域の高齢者・障害者・関連団体には、J-WASを通じて様々な日本語ウェブページの使いやすさ等の評価をお願いします。
  3. この評価結果を再び制作者にフィードバックします。

2 実証実験へのご協力のお願い

実証実験地域での、今後の取り組み

9月
講習会開催、ウェブ制作者側には、J-WASでウェブを点検していただき、ウェブ利用者側には、実験参加協力企業・団体のウェブサイトを閲覧していただきます。(10月末まで)
10月
講習会開催
11月
交流会開催、ウェブ制作者側には、J-WASでウェブを修正していただき、ウェブ利用者側には、J-WASのアクセス支援サービスを利用していただきます。(12月末まで)
12月
アンケート実施

以上の取り組みを受けて、平成14年にはJ-WASシステムの改修、平成14年度実証実験を行う予定です。

交流会までの取り組みの具体例

ご自身のホームページを、高齢者や障害者の立場に立って見直してみてください。

  1. 高齢者や障害者の立場に立って、自社のホームページが使いやすくできている見直す
  2. 視覚障害者・高齢者団体との「交流会」に参加し、自社のページの問題点を指摘してもらう
  3. 指摘された問題点と、自社で検討した問題点を比較し、修正方針を検討する
  4. J−WASを利用し、技術的な問題点をチェックする

3 改善成果の申告のお願い

実証実験では、みなさまが改善に取り組まれた成果を、ホームページでご紹介します。

  • 「みんなのウェブ」から申告ができます。
  • 一部のページだけでも結構です。できるところから、ウェブアクセシビリティへの取り組みをお願いします。

4 お問い合わせ先

  • 実証実験全体に関するお問い合わせ
    総務省情報通信政策局情報通信利用促進課
    E-mail: u-net@soumu.go.jp
    電 話: 03-5253-5743
  • J-WASシステムに関するお問い合わせ
    アライド・ブレインズ株式会社
    (J-WASシステムに関するお問い合わせは終了しました。)

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